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税務調査について「租税法解釈の基本」

はじめに

私達税理士は、関与先に信頼されるためには、関与先の質問に(1)的確に、かつ(2)スピーデーに回答しなければなりません。そして、この場合、事前の相談が非常に大事になってきます。
なぜならば、日常業務においても、何らかの判断をする場合、必ず後から税金の問題が絡んできます。
一例を挙げれば、役員報酬の変更、退職金の支給、固定資産の購入・売却、リース契約や保険契約の締結、変更など日常業務の全てに税金がついてまわります。
そして、企業の場合は、この日々の会計処理の結果が月次決算、年次決算へと繋がっていきます。そして税務調査へと・・・・
そういう意味では、税務も毎日が勝負です。
事後に、相談をお受けしても、どうしょうもないことも多いのです・・・・(もちろん、後から変更が出来るものも有りますが、出来ないものの方が多いのです。)

税務調査

前置きが長くなりましたが、税務調査では、ふつう、企業の3年間の申告(会計処理・税務処理)が正しいかどうかを調査官が判断し、その結果、申告是認か修正申告となります。
申告是認となれば、それで調査終了となり万々歳です!
一方、修正申告となれば、今度はその中身について、1つずつ、企業と税務署のどちらの判断が租税法に照らして正しいのか調査官と話をします。

租税法も法律なので、法律(所得税・法人税・消費税など)に照らして正しいか否かを判断します。
この場合、難しいのは、事案が法律(条文など)にピタッとあてはまる場合は、結論が早いのですが、ない場合(こちらの方が多いのです)は、以下の、2ツの基本原理に戻って、条文などを解釈します。(税務調査では、この法律解釈のほか、課税対象となる事実の認定(認識)、判断の問題も非常に多いです。)
☆.租税法の基本原理(1.租税法律主義 2.租税公平の原則)

租税法の解釈について

租税法の解釈ほど難解なものはありません、本来なら、誰もがわかりやすい税制でなければならない、であるのに。

我が国では成文法が基本であるため、

  1. まず、始めに租税法の文理解釈が必要です。文理解釈とは、普通に用いられている意味を明らかにすることで、法文に用いられている意味内容を吟味し精査し直します。
  2. そして、文理解釈を貫くとどうしても不都合が生じる場合に、「共同社会の一員として必要な費用を分担する」ということを基本に、解釈を進めていきます。
    法文に明記されている文字や用語だけにとらわれるのではなく、条理や社会通念上の道理、筋道という要素を中心に考えることが必要になります。これを条理解釈といいます。本来、法文が厳格な文理解釈に基づき法の運用を行いながらも、ときとして法の妥当性を欠くというようなケースもあります。そのとき必要となってくるのが、論理解釈や、縮小解釈、反対解釈です。文理解釈は立法者の意図を解釈することで、その意図は時代の変化によって当然変わります。しかし、いつの時代であっても不変なものは法が有する理念でしょう。
    その意味において、税法解釈については目的論的解釈が必要ではないでしょうか。
  3. そして最終的には、一般の社会通念、条理、そして常識というものが基本となります。法律の文言を一般通念から解釈するのは確かに至難の業ですが、法例解釈の基本は一般常識に他ならないからです。

一方、税務署が税というものを把握する場合は、

  1. 行政当局の公定力という角度から捉えられることが少なくありません。
    しかしそのような解釈は租税徴収上の便宜性からくる一時的なものにすぎません。なぜなら最終的な決定は、裁判規範としての法ですから。つまり法律として税法を理解するとき、最終的な判断を裁判に求めるのです。申告納税制度のもとにおいては、租税法の第一次解釈権は納税者にあります。
  2. ところが現実は、法解釈が難しければ「通達」に、こう書いてある、と税務署は指導します。
    確かに「通達」には租税に関する事柄が網羅されていますが、これは上級庁から下級庁への指示命令であって国民への法的拘束力はありません。

したがって、税務調査において、税務署と見解が相違する場合(法の解釈が常識に反すると思われる場合)には、敢然と争訟に持ち込むべきでしょう。
法の解釈の根本は常識であり、社会通念上の道理です。租税法の解釈の基本的な考え方とはこのようなものであります。

※公定力とは、違法の行政行為であっても、当然無効の場合は別として、正当な権限を有する機関によって取り消されるまでは一応有効なものとして通用する効力を言います。

次回は、租税法の2大基本原理の1つ、租税法律主義についてお話しします。

H15.9.21

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