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事務所通信 12月号

事務所通信 12月号

 今年も残り1ヶ月弱、1年が早く感じられます…。
 日毎に寒さが加わってまいりました、体調を崩しやすくなっていますので十分に気をつけてお過しください。
 先月29日まで、補正予算案の審議で、岸田首相は「減税、辞任ドミノ、政治とカネ」の問題などで野党からの質問責めでしたが、29日夕方、経済対策約13兆円の裏付けとなる補正予算が成立しました。

 さて、12月ということで、上記の「所得税減税」など、令和6年度税制改正の関連記事が多くなってきました。
 自民・公明両党の税制調査会は、11月17日にそれぞれ総会を開き、令和6年度の税制改正大綱に向けた議論を本格的に始めました。
 上記の「所得税減税」や扶養控除の見直し、賃上げ税制、防衛増税の開始時期などが主な論点になっています。
 結論は例年通りなら、今月上中旬頃には出る予定です。
 また、会計検査院の「指摘事項」にも注目です。

 12月は、旧暦の師走です。師走の語源は諸説ありますが、もっとも有名な説によると「師」とは僧侶のこと。お坊さんのように普段は落ちついている人でも、この月は忙しく東西を走り回るという意味の「師馳す(しはす」が元になっているようです。
 残り少なくなり、さまざまな行事やお正月の準備など、何かと多忙な年の暮れですが、マイペースで行きましょう。

 1年間、お付き合い頂きありがとうございました。また、来年もよろしくお願い致します。

お知らせです!

消費税の「インボイス制度」導入から2ヶ月が過ぎました。
インボイスの対応は順調に進んでいますでしょうか。

 11月号にも書きましたが、最初は焦らず正確さを重視して対応してください。
 1ヶ月が正確に出来れば徐々にスピードアップできます。
 3ヶ月目には自信を持って出来るようになります。
 
 疑問点や質問など、何時でも、何でもご相談ください。

 12月の巡回監査時には、「年末調整」・「インボイス制度」・「電子帳簿保存法」についての、打合せも行います。

 事前の十分な準備をし、スムーズな年末調整を行いましょう。
 
 また、令和6年1月1日より、電子帳簿保存法が施行されます。
 この「電子帳簿保存法」についても、順次巡回監査時にご説明して行きます。
 今月の目次
1. 2023年度補正予算が成立総額13.1兆円!
2. 税の無駄遣い-580億円!
3. 政治資金収入総額1,067億円前年比7%余増!
4. 大谷選手MVP、史上初の2度目満票!
5. 
所得税調査で5,594億円の所得申告漏れを把握!



1.2023年度補正予算が成立総額13.1兆円!

 政府の経済対策の実施に必要な財源の裏付けとなる2023年度補正予算は29日、参院本会議で自民、公明、日本維新の会、国民民主の4党などの賛成多数で可決・成立しました。
 一般会計の歳出は13兆1,992億円
 歳入は税収の上振れで1,710億円、税外収入で7,621億円をそれぞれ組み込みました。2023年度当初予算で計上した5兆円の予備費の残り2兆5,000億円も活用です。
 歳入の7割にあたる約8兆8,750億円は国債で賄います

 ガソリンや電気・都市ガス料金を下げる補助金の来年4月までの延長や、住民税非課税の低所得世帯に1世帯あたり7万円を配るため、物価高対策に2兆7,363億円を計上しました。

 経済対策の関係経費は13兆1,272億円。具体的には、「物価高対策」は2兆7,363億円で全体の2割。年内に始める方針の低所得世帯への7万円給付に1兆592億円、ガソリンなどの燃油価格や電気・都市ガス代を抑える補助金の追加に7,948億円を充てます。

 金額が最大となるのは公共事業や防衛予算などの「国土強靱化」で、4兆2,827億円と全体の3割を占めます。「国内投資促進」が3兆4,375億円で続きます。経済安全保障上の重要物資とされる半導体関連の支援に、特別会計分を含めて1兆8,537億円を計上しました。
(以上、令和5年11月21日~11月30日。日本経済、読売、毎日新聞、など参照)


 衆参併せ6日間の予算委員会の討議が終わりました。
 今回の補正予算には含まれていない、来年度の「定額減税」も主な論点になりました。
 そのほか、「三重苦」といわれる残りの「政治資金の問題」、「政務三役の不祥事」も厳しい追求がありました。
 政府の経済対策は与党の身内からも「国民への説明が足りない」などと不評を買う始末です。

 テレビなどでも岸田首相の「厳しい苦悩」の表情が見て取れました。
 首相の本意はどこにあるのでしょうか。
 自らの権力維持や選挙対策があるのでしょうか。
 支持率も下落していますが、・・・・。

 ここまで来れば、周りの雑音にとらわれず自分のやりたいことを、
 本気でやりたいようにすればいいのではないでしょうか?

 (ただし、取り巻きだけでなく、他の人の意見も聞いて

 「信なくば立たず」です。

2.税の無駄遣い-580億円!

 会計検査院は11月7日、2022年度の決算検査報告書を岸田首相に提出しました。
 この決算検査報告では、税金の不適切な支出や無駄遣いを指摘した国の事業は344件で、金額は580億2千万円となりました。
 指摘件数のうち、新型コロナウイルス関連事業が3割を占めます。緊急性の高さと裏腹に、チェック体制や運用面で不十分さが目立ちました。

 2022年度報告ではコロナ関連のほか社会保障、デジタル化などの分野で、補助金や交付金の使用状況や運用実態を重点的に調べた結果、コロナ関連は指摘件数が93件で金額は計約220億2千万円でした。

 検査院が指摘した事項を大きくみると、不適切な事例には3つのパターンがあります。

 ①まず、自治体などの事業主体や利用者による制度の理解が不十分だったケース
  コロナの感染拡大防止や医療体制の整備に関する交付金では計約5億3,000万円の過大支給が確認されました。
  コロナ患者を療養のため宿泊施設へ搬送する事業では6自治体が交付対象にならない医療機関への搬送を含めており、約2億3,000万円が過大です。

 ②コロナ対策の個人事業主への持続化給付金では、一部で納税申告が適切に行われていませんでした。
  所得税の申告で、給付金は事業所得などとして収入として計上する必要があります。だが抽出調査で受給者8903人について確認したところ、428人(4.8%)の全体の収入額が給付額を下回っており、給付金を収入に計上していないとみられることが判明しました。
  全体では未申告者が十数万人に上る可能性があり、課税の公平性に疑問が生じかねず、検査院は納税者に適正な申告を促すよう国税庁に求めました。

 ③調達した物品が有効活用されていないなど、事業が適切に運用されていないケース
  コロナ対策の交付金を使って自治体が調達した医療機関向けの不織布マスクや消毒液などを巡っては、約6億円分が22年度末時点で一度も使われていなかったことが判明です。未使用のまま残った物品の取り扱い方法が示されていなかったことが原因で、検査院は内閣府に対し、自治体に活用促進策を検討させるよう求めました。

 ④その他、見通しが甘く、交付金などが効率的に使われていない事案も散見されました。

 指摘件数の344件のうち、法令違反や不適切な予算執行と認定した「不当事項」は計285件(金額計約97億6千万円)。見解や改善を求める「意見表示・処置要求事項」は20件(同約309億6千万円)、指摘に基づいて各省庁が対応したものが28件(同約173億円)ありました。

 省庁別の指摘の最多は厚生労働省の154件で、国土交通省(39件)、文科省(26件)が続いています。

 1件当たりの指摘金額が最大だったのは、水田を有効活用するための農林水産省の事業で約134億5,200万円。麦や大豆などに転作したコメ農家を助成する交付金を巡り、交付の可否を判断する収量などが十分に確認されていなかったようです。
(以上、令和5年10月19日~11月20日。日本経済、読売、毎日新聞、税のしるべなど参照)

※.決算検査報告は、内閣から独立した立場から国の財政を監督する会計検査院が行う。各省庁や国が資本金の半分以上を出資する法人などの決算を検査し、報告書形式でとりまとめ、毎年秋に首相に手渡した上で公表する。

 詳しくは、下記HPをご覧下さい。

 最新の検査報告
 https://www.jbaudit.go.jp/report/new/index.html
 令和4年度決算検査報告の概要
 https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary04/index.html
 令和4年度決算検査報告の特徴的な案件
 https://www.jbaudit.go.jp/report/new/tokutyou04.html


 決算検査報告で、税金の無駄遣いが前年度比27%増の約580億円に上ることが分かりました。

 国の優先課題を利用して予算膨張を図る各省庁の姿勢が無駄の元凶です。
 全体の4割弱、約220億円を占めるコロナ関連事業では、中小企業向け融資のずさんな実態が明らかになりました。

 会計検査院は毎年、無駄遣いの指摘に加え、税金の有効活用も求めていますが、各省庁は検査院の指摘や求めを軽視し、過大な予算要求を続けているのが実態です。

 国会には執行した予算が正しく使われたかを審査する場として衆院に決算行政監視委員会参院に決算委員会が設けられています。国会が見過ごせば税の無駄遣いが続き、予算が増加し国民の負担が増します。

 国会での議論では、自民党への攻撃をする野党もこの予算の無駄はあまり追求はしません。
 追求しにくい何かがあるのでしょうか?
 省庁を追求しても政権交代にはならないので、あまり得策ではないと考えてるのでしょうか

 国民の代表なので、みんなが納めた税金のムダ使いは追求してほしいですよね。

 来年は、物価高騰対策のムダがニュースになるのでしょうか?

それにしても、税金の使い方がひどいです!

3.政治資金収入総額1,067億円前年比7%余増!

 総務省が11月24日に公表した去年1年分の政治資金収支報告書によりますと、政党や政治団体の収入総額は1,067億円で、新型コロナの行動制限が緩和される中、政治資金パーティーが増えたことなどから、前の年より71億円、率にして7%余り増えました。
 総務省で公表されるのは、政党や活動範囲が複数の都道府県にまたがる政治団体が提出した去年1年分の政治資金収支報告書です。

 提出があった2984団体の収入の総額は1,067億円で、
 内訳は、政治資金パーティーや機関紙の発行などの「事業収入」が341億円、国からの「政党交付金」が315億円、個人献金や企業・団体献金などの「寄付」が163億円などとなっています。
 このうち政治資金パーティーは、コロナ禍の影響を受けていたおととしと比べて57多い335団体が開催して、収入額は82億円と21億円増えていて、収入総額が増えた要因の1つとなっています。

 これに対し、支出の総額は1,058億円で、おととしよりも10億円、率にして1%増えました。
 内訳は、去年は参議院選挙が行われたことから「宣伝事業費」が94億円で、前の年の3倍以上になりました。
 一方で、「選挙関係費」は31億円減って50億円となりました。
 これは、おととし行われた衆議院選挙に比べ、参議院選挙は候補者が少ないことなどが要因とみられます。

 政党本部の収入は多い順に、
  ▽自民党が248億6,000万円(前年より5億1,000万円増)
  ▽共産党が191億円(前年より5億円減)
   政党交付金は受けておらず、収入の9割近くが機関紙の発行などの「事業収入」です。
  ▽公明党は135億1,000万円(前年より16億8,000万円増)
  ▽立憲民主党は91億7,000万円(前年より7億2,000万円増)
  ▽日本維新の会は43億9,000万円(前年より19億7,000万円増)
  などです。

 個別政治団体では、政治資金で閣僚ら海外土産、100万円、ワイン店など!
 自民党の林芳正前外相ら令和4年に閣僚だった3議員が代表を務める政治団体が、「海外土産代」や「贈答品」として、海外の店舗などで計約100万円を支出していたことが25日、総務省が公表した4年分の政治資金収支報告書で分かりました。
 3議員は林氏のほか、山際大志郎元経済再生担当相と西村康稔経済産業相。
 最も多額だったのは林氏の「林芳正を支える会」で24件、計約72万円。山際氏の「21世紀の政治経済を考える会」は2件、計約22万円を支出。西村氏の「総合政策研究会」は4件、計約10万円を計上。3議員の事務所はいずれも「適正」としています。
(以上、令和5年11月24日~11月28日。日本経済、読売、毎日、産経新聞など参照)

 興味のある方は、下記HPをご覧下さい。

 令和4年分政治資金収支報告の概要(総務大臣届出分)
 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01gyosei17_02000206.html
 https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/reports/SS20231124/

 政治資金センターみんなで調べよう政治とカネ
 https://openpolitics.or.jp/


 補正予算委員会でも、野党追及があった「派閥の政治資金不記載問題」もありました。

 政治資金規正法は、政治団体に対し、年に一度、収支報告書を提出することを義務づけています。
 収支報告書には、その年の12月31日までの1年間の収入と支出、それに資産などを記載し、原則、次の年の3月末までに、都道府県の選挙管理委員会か総務大臣に提出することになっています。
 具体的には、同じ人や団体から年間5万円を超える寄付や、1回の政治資金パーティーで20万円を超える支払いを受けた場合は、名前や金額などを記載しなければならないとされています。

 ただし、報告書には誰に何を購入したかを記載する必要はありません
 政治資金の使途として適切かどうか具体的な説明が求められます。

 歴史的には、「政治をやるのにお金が必要だからと献金でまかなっていたが、癒着がひどくなり、「政党交付金制度」ができましたが、未だ献金は続いています。
 政治家、いや政治屋は二重取りで、ずるいですよね
 みなさんそう思いませんか。

4.大谷選手MVP、史上初の2度目満票!

 米大リーグ機構は16日、今季の最優秀選手(MVP)を発表し、日本人初の本塁打王に輝くなどエンゼルスで投打の「二刀流」で活躍した大谷翔平がア・リーグMVPに満票で選ばれました。2021年に初受賞している大谷選手は日本選手として初の2度目の受賞。前回も満票で選ばれており、2度目の満票選出は史上初の快挙です。

 今季はシーズン終盤に右肘や脇腹の負傷で離脱しましたが、打者で44本塁打をマークし日本勢で初の本塁打王を獲得です。打率3割4厘、95打点の成績を残し、OPS(出塁率と長打率を合計した数字)はメジャートップの1.066をマークしました。投手でも10勝(5敗)を挙げ、史上初の2年連続「2桁勝利、2桁本塁打」と比類なき成績を残し、自身とともにMVPの最終候補だったレンジャーズの内野手のシーガーとセミエンを抑えて全米野球記者協会会員30人の投票で全員から得票しました。

 MVPは全米野球記者協会の会員30人の投票によって決まります。レギュラーシーズンの成績を対象にポストシーズン前に投票を実施。最多ポイントを得た選手がMVPを受賞します。

 また、今季エンゼルスをFAになった大谷翔平選手は、11月8日、日本のすべての小学校に各3個ずつグラブを寄贈すると発表しました。日本シリーズ、アメリカのワールドシリーズが終わって、野球ファンの気持ちが落ち着いたタイミングでの発表でした。

 配布するのは国立、公立、私立の小学校に特別支援学校も含まれます。文部科学省によれば、令和5年度、国立の小学校は67校、公立は1万8668校、私立は244校、特別支援学校は1013校。合わせて1万9992校です。
 ここに、1校当たり3個(右用2、左用1)のジュニアグラブを送付すると約6万個という数字になります。なお、学校側が希望しない場合は、グラブを寄贈しませんということです。
 12月から来年3月までをめどに全国の小学校へ順次、配送していくようです。
(以上、令和5年11月10日~11月28日。日本経済、読売、毎日、産経新聞など参照)

 大谷選手の、インスタグラムで、「野球を通じて元気に楽しく日々を過ごしてもらえたらうれしい。このグラブを使っていた子供達と、将来一緒に野球が出来ることを楽しみにしています」とのこと。

 本当に、「野球は恋人」の大谷選手らしい贈り物です。
 このグラブで野球が出来る少年も含め、大谷選手のような素敵な野球選手が出てくることを今から期待したいと感じました。

5.所得税調査で5,594億円の所得申告漏れを把握!

 令和5年11月22日(水)、国税庁ホームページで令和4事務年度(令和4年7月から令和5年6月までの間)に実施した「所得税及び個人事業者の消費税について」等の状況が明らかになりました。

 調査状況等によると、所得税の調査等の件数は、高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象に深度ある調査として行われる「特別調査・一般調査」は36,000件(前年比24,000件)、資料情報や申告内容の分析の結果、申告漏れ等が見込まれる者を対象に実地に臨場して短期間で行われる「着眼調査」は11,000件(前年7,000件)、原則として納税者宅等に臨場することなく、文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、申告内容を是正する「簡易な接触」(添付書類の未提出に対する提出依頼を行った件数等を含みます。)は592,000件(前年568,000件)で、これらの「調査等の合計件数」は683,000件(前年600,000件)となっています。そのうち「申告漏れ等の非違件数」は338,000件(前年317,000件)で、申告漏れの割合は53.0%(対前年0.1ポイント増)となっています。

 さらに、消費税の調査等の件数は、「特別調査・一般調査」は21,000件(前事務年度14,000件)、「着眼調査」は5,000件(同3000件)、「簡易な接触」は、68,000件(同68,000件)で、これらの「調査等の合計件数」は94,000件(同68,000件)となっています。そのうち「申告漏れ等の非違件数」は61,000件(同55,000件)で、申告漏れの割合は65.0%(対前年0.1ポイント増)となっています。

 なお、業種別1件当たりの申告漏れ所得金額が高額な業種(脱税のワースト3業種)は、下記のとおりです。
 ①経営コンサルタント」(3,367万円)、②くず金卸売業(2,483万円)、③「ブリーダー」(2,075万円)。
 ①、③は、昨年同様の常連さんです。

 詳しくは、下記HPをご覧ください。

 令和4事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について
 https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/shotoku_shohi/index.htm
 「令和4事務年度所得税及び消費税調査等の状況」として、以下の内容が公表されました。
 https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/shotoku_shohi/pdf/shotoku_shohi.pdf

 税務署の皆さん、行政コストの面からも「書面添付の無い企業」への調査よろしくです。

2023年 12月号

今月のことば

病人には回復するという楽しみがある

寺田寅彦(物理学者)

「事務所通信12月号」

経営黒字経営への道しるべ(第5回)
適切な労働分配を考える
税務令和5年分「年末調整申告書」作成上の注意点
労務押さえておきたい!外国人材活用の基礎知識
トピックコロナ後の忘年会シーズン直前!「アルコール検知器」の準備は大丈夫?

12月の税務カレンダー

<納付期限>
12月11日(月)


  • 11月徴収分源泉所得税・特別徴収住民税の納付期限
  • 固定資産税(都市計画税)の第3期分の納付
    (納期限-12月中の市町村の条例で定める日)
    (大阪市の納期限は12月28日(木)です)
<申告期限など>
12月31日(日)


  • 個人の消費税課税方式の選択届出書の提出
    但し、持参提出する場合は28日(木)までに(12月29日から1月3日まで閉庁日に注意)
    ※郵送する場合は31日の日付があればOK
<申告期限など>
令和6年1月4日(木)


  • 10月決算法人の確定申告期限
    (法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税)
  • R6年4月決算法人の予定(中間)申告期限
    (法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税)
  • 消費税・地方消費税の中間申告期限

事務所通信 11月号

事務所通信 11月号

朝晩の気温は、肌寒いぐらいに下がりグッと秋の気配が増してきました。
よい季節になりましたが、いかがお過ごしですか・・・・。

多くの地域では、紅葉が見頃を迎えます。
行楽の秋、一度出かけられてはいかがでしょうか。

先月、岡山、広島へ旅行に行ってきました。
地元税理士会の3年ぶりの一泊旅行で、岡山は後楽園と岡山城、広島は鞆の浦と千光寺参拝でした。
特に印象に残ったのは鞆の浦の徒歩での地元のガイドのおばさんの海援隊・坂本龍馬の「いろは丸」沈没にまつわるお話などでした。

少し長くなりますが、良ければお付き合いください。
鞆の浦第一の景勝地、「福禅寺対潮楼」で座敷から海を眺めながら、沈没の位置、そして「徳川御三家」の紀州藩との交渉過程・場所、「万国公法」を駆使し、また土佐藩からて後藤象二郎を呼ぶなどして、8万3000両の賠償金をせしめたことなど。具体的な話は歴史、龍馬好きの私にとってはすごく引き込まれました。

事故から半年後の慶応3年11月7日に、賠償金は7万両に減額され、大半が土佐藩に支払われることで落着です。
しかし、龍馬は「分け前」をもらえませんでした。8日後の11月15日、京都・近江屋で何者かに暗殺されてしまったからです。
そして、この7万両が後藤象二郎、岩崎弥太郎に流れ、その後明治になり、岩崎商会となったので、いろは丸事件の賠償金は「三菱の基」になっているのではという、話もされ歴史の一端を垣間見ると共に益々歴史が好きになりました。

坂本龍馬の「いろは丸沈没・事件」について興味のある方下記のHPをご覧ください。

坂本龍馬人物伝
https://www.ryoma-den.com/
いろは丸沈没・事件
https://www.ryoma-den.com/shiryou/irohamaru.html

お知らせです!

消費税の「インボイス制度」導入から1ヶ月が過ぎました。
インボイスの対応は順調に進んでいますでしょうか。

 10月号にも書きましたが、最初は焦らず正確さを重視して対応してください。
 1ヶ月が正確に出来れば徐々にスピードアップできます。
 3ヶ月目には自信を持って出来るようになります。
 疑問点や質問など、何時でも、何でもご相談ください。

 11月の巡回監査時には、年末調整についての、打合せも行います。

 事前の十分な準備をし、スムーズな年末調整を行いましょう。
 また、令和6年1月1日より、電子帳簿保存法が施行されます。
 この「電子帳簿保存法」についても、順次巡回監査時にご説明して行きます。

 

 今月の目次
1. 所信表明演説-経済対策について!
2. 代表質問について!
3. 税収増の還元について-本当に税収増なの?!
4.「中小企業の事業再生等に関するガイドライン事例集を公表」!
5. 
年末調整がよくわかるページ(令和5年分)!

 

1.所信表明演説-経済対策について!

 岸田首相が衆参両院の本会議で所信表明演説を行ない、「経済、経済、経済」と経済重視の姿勢を強調した上で、「低物価・低賃金・低成長のコストカット型経済」からの脱却を表明しました。

 首相はまた、「思い切った供給力の強化」と「物価高を乗り越える国民への還元」に重点を置く考えを強調です。
 演説を経済に絞ってまとめれば、下記のようになります。

 所信表明演説のポイント(経済関連)

  1. 今後3年程度を供給力強化への変革期間として集中投資
  2. ガソリンや電気・ガス料金の補助を来年春まで延長
  3. 税収増を還元し、物価高による国民の負担を緩和国民への還元

 ただ、そのための具体策については、賃上げに取り組む企業を税制上優遇する措置は既に実施していますが、機能しているとは言えません。半導体など経済安全保障上、重要な工場を国内に建設する場合の助成措置もすでに行っています。従来の施策の延長で、十分な成果は期待できるのでしょうか。

 首相は2年前の所信表明演説で、新自由主義的な政策が格差を生んだとして、分配に力を入れる「新しい資本主義の実現」を訴えていました。また、株主重視の流れを改める、といった趣旨の発言もありました。

 今回の演説では「新しい資本主義」に触れず、「供給力強化」に転換したが、その理由の説明は不十分と言わざるを得ません。
 次々とスローガンを掲げても、政策の中身に実効性が伴わなければ、共感を呼びにくいのではないでしょうか。
 (以上、令和5年10月23日~10月28日。日本経済、読売、毎日、など参照)

 首相の意気込みは伝わりましたが、経済対策の具体性・実効性に問題はないのでしょうか?

 身内からも批判が出ていましたが、「首相は何をやろうとしているのか伝わらない」。(世耕参院幹事長)
 また、野党からも「美辞麗句が並んでいるが、そこに魂が入っているかどうか」。

 首相の姿勢ややり方も問題ではないでしょうか。
 信頼(信用)できる人が少なく(根回しが出来ない)、また、方針を早く言えば反対されるので直前になって言うので唐突な感じがするなど。
 支持率が下がっているのも、気になるのでしょうが・・・・、

 頑張っていらっしゃるのは認めていますので、やり方を変えてはいかがでしょうか?

 反対されてもいいのではないでしょうか(議論できる)。

 首相には、スマートでなくても、泥臭くてもいいので、国民に響くような言葉で語りかけられては如何でしょうか、・・・・。

2.代表質問について!

 岸田首相の所信表明演説に対する代表質問が行われました。野党各党が物価高対策に焦点を当てた質問です。

 自民、公明両党は「税収増の国民への還元」という首相の指示を受け、所得税などの減税を検討しています。来年度に限り、1人あたり4万円を減税する案が有力です。低所得世帯への給付を含めると、「還元」は5兆円規模になるようです。

 対し立憲民主党の泉氏は、全世帯の6割を対象に1世帯あたり3万円を給付する案や、ガソリン税を軽減する「トリガー条項」の発動などで、総額7.6兆円規模の経済対策を講じるべきだと訴えました。

 1年限りの定額減税と給付金にどんな違いや、どういった効果があるのか。議論は素通りです。

 日本維新の会の馬場代表は、消費税率の8%への引き下げや、低所得者の社会保険料の減免を訴えました。国民民主党の玉木代表と共産党の志位委員長は、ともに消費税の5%への減税を主張です。

 一方、自民の世耕弘成参院幹事長は代表質問で、首相に「何をやろうとしているのか伝わらない」と苦言を呈した。
 政権への危機感が自民内にも広がっていることを首相はどう考えているのでしょうか。
 (以上、令和5年10月23日~10月28日。日本経済、読売、毎日、など参照)

 与野党が衆院解散が近いとみてバラマキ政策を訴えているようでは、・・・・ですよね。

 人口減少、少子化にどう歯止めを掛けるのか、悪化した安全保障環境への対応は万全か。国難とも言える課題について、政府と与野党はもっと議論する必要があります。

 物価高が続き、家計の負担感は増していますが、財政が逼迫する中、大盤振る舞いの経済対策を実施することが妥当なのでしょうか?
 やるとすれば、困窮世帯に絞り、もっと手厚くする方が良いのではないでしょうか。

3.税収増の還元について-本当に税収増なの?

「今まで減税実施の根拠として政府が説明してきた「税収増の国民還元」という言葉の意味は、必ずしも明確ではありませんでした。今回、ようやくその明確な説明がなされました。

 総合経済対策の一環として政府・与党内で検討されている所得減税策について、岸田首相は24日に、「2年分の所得増加などの増収分を分かりやすい形で(国民に)還元する」と説明しました。

 上記、「2年分の所得増加などの増収分」の中身を見てゆきます。

 過去2年間の日本の所得税収は2020年度が19.1兆円、2021年度は21.3兆円、2022年度は22.5兆円である。2020年度から2022年度までの2年間の税収増加分は、3.4兆円です。
 これが、今回の所得減税及び給付金の総額の根拠でしょうか。
 しかし具体的に見れば、2020年度と2022年度までの2年間で、税収が相応に増えるのは当然なことだろう。2020年度は新型コロナ問題によって、経済が大きく落ち込んだ時期にあたるからです。この2年間は、過去のトレンドと比べて税収が予想外に上振れたのではなく、新型コロナ問題によって一時的に落ち込んだ税収が正常化しただけであるとも言えます。
 (以上、令和5年10月23日~10月28日。日本経済、読売、毎日、産経新聞など参照)

 興味のある方は、下記HPをご覧下さい。

 一般会計税収の推移
 https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.pdf
 租税及び印紙収入、収入額調
 令和5年8月末
 https://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/taxes_and_stamp_revenues/202308.pdf

 しかし、本当に税収増なのでしょうか?

 現在生じている税収増は経済成長による成果ではありません。
 2022年度の消費税・法人税・消費税の増収のもとをたどると、インフレによる物価高です。

 2023年度の税収はどうでしょうか。最新の8月末までの税収を見ると、法人税収が還付が増えるなどの影響で前年同期比12.1%減っており、大幅な増収が出るという状況ではありません。

 つまり、国民に還元する税収増は存在しないのではないでしょうか

 そして、新型コロナ問題に対し、政府は給付金などの巨額の経済対策を実施し、それを国債発行で賄いました。
 国債発行による経済対策は、未来の国民の所得を前借りするものであり、その後に経済が正常化し、税収が持ち直した際に、それを通じて前借分を返済するというのが筋であり、自然なのではないでしょうか。

4.「中小企業の事業再生等に関するガイドライン事例集を公表」!

 2023年10月17日、金融庁は、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン事例集」を公表しました。
 「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」の金融機関による積極的な活用に向けた取組みの一環として、2022年度に実際に「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」を活用した事例を収集し公表したものです。

 会社概要、窮境要因、ガイドライン活用の経緯、再生計画の概要、再生支援による効果・成果などの項目が記載されています。

【公表された事例】
 
・再生型私的整理手続き(債務減免なし)   9事例
 ・再生型私的整理手続き(債務減免あり) 16事例
 ・廃業型私的整理手続き           5事例

 「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」は、事業再生等に係る総合的な考え方や具体的な手続等が取りまとめられており、法的拘束力はありませんが、中小企業者・金融機関等が自発的に尊重し、遵守することが期待されています。

 また、帝国データバンクも「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」の実態調査を公表しています。
 (以上、金融庁HP、帝国データバンクHPなど参照)

 詳しくは、下記HPをご覧ください。

 ▼詳細は下記金融庁ウェブサイトをご参考ください。
 ・「中小企業の事業再生等に関するガイドライン事例集」の公表について
  https://www.fsa.go.jp/news/r5/ginkou/20231017.html

  「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」の実態調査
  https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p231010.html
  https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p231010.pdf

5.年末調整がよくわかるページ(令和5年分)!

 年末調整に関する情報をまとめた「年末調整がよくわかるページ(令和5年分)」が開設されています。

 このページでは、年末調整の手順等を解説したパンフレットや年末調整時に必要な各種申告書など、国税庁が提供している年末調整に関する情報が「源泉徴収義務者の方向け」、「従業員の方向け」別に分かりやすく掲載されています。
 是非、ご覧ください。
 また、昨年からは、従業員の方の年末調整の税額計算等を効率的に行うことができる「年末調整計算シート」(Excel)が掲載されていますので、こちらもご活用ください。

 詳しくは、下記HPをご覧ください。

 年末調整がよくわかるページ(令和5年分)
 https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index.htm
 令和5年分年末調整のしかた
 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/nencho2023/01.htm

2023年 11月号

今月のことば

人に交わるには信を以てすべし

(福沢諭吉(学校法人慶應義塾創立者))

「事務所通信11月号」

労務正しく知って「働き控え」の見直しを!
「年収の壁」をおさらいしよう
消費税こんなときどうする?
インボイスの処理についての素朴な疑問
税務令和6年から変わる贈与税の「暦年課税制度」
コラム活用広がる「ふるさと納税」

11月の税務カレンダー

<納付期限>
11月10日(金)


  • 10月徴収分源泉所得税・特別徴収住民税の納付期限
11月30日(木)
  • 所得税予定納税額の納付(第2期分)
  • 個人事業税の納付(第2期分)
    (納期限・・・11月中において市町村の条例で定める日・・・通常は11月末日)
<申告期限など>
11月15日(水)


  • 所得税予定納税額の減額申請(第2期分)
<申告期限など>
11月30日(木)


  • 9月決算法人の確定申告期限
    (法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税)
  • R6年3月決算法人の予定(中間)申告期限
    (法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税)
  • 消費税・地方消費税の中間申告期限

事務所通信 10月号

事務所通信 10月号

朝晩は過ごしやすくなってきました。

空をよく見上げます。日没の夕焼けも好きですが、生駒山に日が昇る直前の朝焼けの幻想的な瞬間が大好きです。自然はいいですネ・・・・、人間も自然の一部であることを感じさせてくれます。

さて、今年の「中秋の名月」は、先月29日で帰る途中の車の中から眺めていました。
「後の月」と呼ばれる十三夜は、今月27日で、今から楽しみです。
せめて夜だけでも、日中の暑さを忘れて秋らしい自然を楽しみましょう。
十三夜は日本固有の風習だそうです・・・・。

お知らせです!

 消費税の「インボイス制度」がいよいよスタートです。
 ご用意はよろしいでしょうか。

 関与先の皆さんには、自信を持って慌てずに対応よろしくお願いします。

 すべての取引先の受取インボイスのチェックの方も時間をかけてチェックしましょう。
 こちらは、すべての取引先の数だけチェックが必要です。

 特に、10月分は、十分に時間をかけて慎重に会計処理をして下さい。
 10月分が正確に会計処理出来れば、11月分以降が楽になります
 何事も最初が大切です。

疑問点や質問など、何時でも、何でもご相談ください。

 

 今月の目次
1. 10月から暮らしがこう変わります!
2. インボイス(適格請求書等保存方式)制度開始です!
3. 2023年度補正予算案、臨時国会提出!
4. 2023年基準地価1.0%上昇、地方圏では31年ぶりにプラス!
5. 水俣病訴訟、国に賠償命令!

 

1.10月から暮らしがこう変わります!

10月1日から暮らしに関わる制度や仕組みが変わります。
 インボイス制度が新たに始まり、新型コロナウイルスの患者に対する支援が変更されます。
 食品も値上がりしそうです。
 一方で値下げされるものはビール、速達郵便の料金、家庭向け電気料金(政府補助継続が前提)などです。
 主なものをまとめました。

①インボイス制度が開始
 10月1日から消費税の適正な申告・徴収を目的とした「インボイス制度」がいよいよスタートします。
 2024年1月から適用される「改正電子帳簿保存法」とあわせて、会計の実務が大きく変わります。

②最低賃金も引き上げです
 物価高の影響などもあり、全国加重平均は初めて時給1000円を超え、43円増の1004円となります。全国平均で初の最低賃金1000円超えが実現することになります。
 新しい最低賃金は10月1日から14日にかけて順次適用される見通しです。

③第9波が続く新型コロナに関する内容
10月からは新型コロナウイルス感染症の患者に対する支援も変更されます。
 新型コロナウイルスの患者に対する治療薬の全額公費支援を見直し、所得に応じて上限3000~9000円を患者が負担するようになります。
 具体的には、窓口負担が1割の人は3000円、2割負担で6000円、3割負担だと9000円となる計算です。
 入院医療費では、毎月の負担額に上限を設ける「高額療養費制度」を適用し、最大2万円補助していましたが、同1万円に減らします。コロナ患者向けの病床確保料や診療報酬の特例も縮小されます。

④ガソリン補助金が延長に
ガソリン補助金は、原油価格の高騰によるガソリン価格の上昇を抑えるために、政府が石油元売り会社に補助金を支給する制度です。2022年1月に開始され、当初は1リットルあたり5円の補助額でしたが、その後、原油価格の高騰を受けて段階的に補助額を拡大してきました。
 しかし、原油価格の高騰は止まらず、2023年8月2日時点でのレギュラーガソリンの全国平均小売価格は1リットルあたり185.6円と、過去最高を更新していました。このため、政府はガソリン補助金の延長を決定しました。
 ガソリン補助金の延長により、ガソリン小売価格は1リットルあたり170円台に抑えられる見通しです。

⑤改正酒税法の施行により、ビールと日本酒は減税
 改正酒税法の施行により、ビールの値段などが変わりそうです。ビールの税額は350ミリリットル当たり70円から63円35銭に下がります。一方、第3のビールは同37円80銭から発泡酒と同じ46円99銭に上がります。税額の変動により、小売価格にも影響が出ます。

⑥ふるさと納税の制度見直し
 主な改正内容

  1. 募集に要する費用について、ワンストップ特例事務や寄附金受領証の発行などの付随費用も含めて寄附金額の5割以下とする。(募集適正基準の改正
  2. 加工品のうち熟成肉と精米について、原材料が当該地方団体と同一の都道府県内産であるものに限り、返礼品として認める。(地場産品基準の改正
  3. 返礼品に附帯物をあわせて提供する場合、返礼品の価値が提供するものの価値全体の7割以上とする。

⑦食品値上げラッシュ
 原材料高・資源高・円安などが重なり食品の値上げラッシュ。帝国データバンクの食品主要105社を対象とした価格改定動向調査では、10月は月間で最多の6699品目が値上げ。

⑧一定の所得のある後期高齢者の医療費負担アップ
 後期高齢者(75歳以上)で、単身200万円、夫婦で320万円以上の年収のある世帯の医療費の窓口負担が1割から2割にアップ。受診控えを避けるため、今後3年間は負担増を最大で月3000円にとどめる。

2. インボイス(適格請求書等保存方式)制度開始です!

 日本の消費税が生みの苦しみを経て導入されたのは皆さんもご存じの通りです。

 1979年の大平内閣は一般消費税構想を打ち出したが、反発を受け法案提出を断念、1987年には中曽根内閣が売上税法案を提出したが廃案となり、度重なる消費税断念の経験を経て、現行の消費税法は1988年(平成元年)、竹下内閣の下で成立し4月1日施行されました。(導入時、世間は大変な騒ぎとなっていました。)

 そして、消費税の導入に当たっては、国民の反発を極力抑えるため、中小零細事業者に対する種々の配慮が施されました。事業者免税点制度がその一つです。
 小規模零細事業者の納税事務負担や税務執行面への配慮の観点から、一定の事業規模以下の小規模事業者(導入時は基準期間の課税売上高3,000万円以下の事業者、後に1,000万円以下の事業者に改正)については、納税義務を免除する「事業者免税点制度」が導入され現在まで続いています。

 今回は、その納税を免除されてきた小規模事業者(免税事業者)の取扱いが一番の問題になっています。
 今まで、納税を免除されていた方々(当然、計算も不要))が、課税事業者になるか、免税事業者のままでいるかの判断(決断)をしなければなりません。
 インボイス(適格請求書)を登録し、計算もして自分で消費税の申告ができるでしょうか。
 そのため、政府は簡単な計算方式など色々な対応・決定をしています。

 消費税額を正確に把握するためにインボイス(適格請求書)の発行は必要です。
 また、取引の透明性を高める上でも意義は大きく、国に納めるべき消費税が事業者の手元に残る「益税」の解消にもつながります。

 今回の一番の問題は、免税事業者への対応です。

 460万の免税事業者の申請は111万件になったようです。(9月30日現在)

 免税事業者と取引される課税事業者の皆さんは、独占禁止法、下請法などに注意され対応をされていらっしゃることと存じます。
 スムーズなインボイス(適格請求書)制度が導入されることを望みます。
 (以上、令和5年9月28日~10月1日。日本経済、読売、毎日、など参照)

 1988年(平成元年)から2023年(令和5年)まで約35年掛けて(掛かって)やっとここまで来ました。

 日本及び付加価値税の存在しない米国を除くOECD諸国ではインボイス制度が導入されています。
 外国で出来ている事が日本では時間が掛かり(慎重)すぎる、全てのことにあてはまります。
 それが、日本の短所でもあり、また長所でもあるのでしょうか?

 政治家の皆さんは、よくスピード感を持ってといわれますが、
 本当にそれでいいのでしょうか?

 問題解決は早いほうが良いと思いますが、・・・・。

3. 2023年度補正予算案、臨時国会提出!

 岸田首相(自民党総裁)は29日、10月に策定する経済対策の裏付けとなる令和5年度補正予算案を10月20日召集の臨時国会に提出する方針を表明しました。与野党では、首相が経済対策をまとめた後、補正予算案を提出せず、臨時国会冒頭にも衆院解散・総選挙に踏み切るのではないかとの観測が浮上していたが、自ら打ち消した形です。

 首相は官邸で記者団に「経済対策を与党とも連携しながら10月をめどに取りまとめる。その後、速やかに補正予算の編成に入り、臨時国会に提出したい」と述べ、さらに、解散について「先送りできない課題に一意専心に取り組む。
 それ以外のことは今は考えていない」と強調しました。

 首相はこれまで補正予算案の国会提出時期を明言せず、提出した場合、成立までは解散しにくくなることから、対策を打ち出した後に解散に踏み切る余地を残しているとみられていました。

 首相が臨時国会の補正予算案提出を表明したことで、解散の選択肢は狭まることになります。

 対策策定から補正予算案の編成までは一般的に3週間程度とされ、補正予算案の提出時期は11月中旬以降とみられます。審議時間が1週間程度とすると、成立は11月下旬から12月上旬になる予定です。

 国会審議では、新閣僚の「政治とカネ」の問題などが追及され、内閣支持率が下落する懸念もあり、10月22日には内閣改造後初の国政選挙となる衆院長崎4区補欠選挙と参院徳島・高知選挙区補選の投開票が予定されているが、自民は苦戦が予想されています。

 11月からは防衛費増額に伴う増税や少子化対策の財源など、政権にとっては逆風となる「負担増」の議論が本格化です。
 (以上、令和5年9月25日~9月30日。日本経済、読売、毎日、産経新聞など参照)


 岸田総理大臣は、物価高を受けた新たな経済対策を10月末をめどにとりまとめるよう、閣僚に指示しました。その一方で、対策の裏付けとなる補正予算案を国会に提出する時期を明言していませんでした。

 ここに来て、臨時国会の補正予算案提出を表明したことで、解散の選択肢は狭まりますが、焦点となるのが、国民への税収増などの「還元」や「減税」の中身で、所得税などの減税に踏みきるとの観測が浮上しています。
 「税に関することは国民の審判を仰がなければいけない」、と言うことで解散の大義になります。

 首相は経済対策や減税などに対する世論の反応を見ながら解散時期を探るのでしょうか。

4. 2023年基準地価1.0%上昇、地方圏では31年ぶりにプラス!

 国土交通省は19日、2023年の基準地価を発表しました。住宅地や商業地など全用途の全国平均が前年比1.0%上がり、2年連続のプラスでした。新型コロナウイルス禍からの経済再開が追い風となり、上昇率はコロナ前の19年の0.4%を上回り、回復基調は全国に広がっています。

 全国2万1381地点で7月1日時点の地価動向を調べました。住宅地の全国平均は前年比0.7%伸び、商業地は1.5%上がり、いずれも2年連続の上昇となりました。地方圏も全用途平均、住宅地、商業地がそれぞれプラスに転じました。

 1年間の地価動向の調査結果のまとめです。

  • 全国平均は、
     
    全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年連続で上昇し、上昇率が拡大です。
  • 三大都市圏は
     全用途平均・商業地は、東京圏では11年連続、大阪圏では2年連続、名古屋圏では3年連続で上昇し、上昇率が拡大です。
     住宅地は、東京圏、名古屋圏では3年連続、大阪圏では2年連続で上昇し、上昇率が拡大です。
  • 地方圏は、
    全用途平均・住宅地は31年ぶり、商業地は4年ぶりに上昇に転じました。
    地方四市(地方四市:札幌市・仙台市・広島市・福岡市)では、全用途・住宅地・商業地のいずれも11年連続で上昇し、上昇率が拡大です。
    その他の地域では、全用途平均は30年続いた下落から横ばいに転じ、住宅地は下落が継続しているが下落率は縮小し、商業地は32年ぶりに上昇に転じました。
    (以上、2023.9.19~21日、日経、毎日、読売・産経新聞など参照)

※基準地価とは、土地取引の目安となる指標の一つで、都道府県が不動産鑑定士の評価を参考に調査する毎年7月1日時点の全国の土地価格のことで、国土交通省が例年9月に公表し、民間企業などの土地取引の目安になっています。

 今年の調査地点は合計で2万1,381地点。地価の指標には、このほかに公示地価(1月1日時点)や、路線価(1月1日時点)があります。

 詳しくは、下記HPをご覧ください。
 令和5年都道府県地価調査
 https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo04_hh_000001_00037.html
 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/tochi_fudousan_kensetsugyo_fr4_000001_00192.html
  令和5年都道府県地価調査を公表しました
 https://www.mlit.go.jp/page/kanbo01_hy_009255.html

5. 水俣病訴訟、国に賠償命令!

 水俣病と認定されておらず、特別措置法の救済対象にもならなかった関西などに住む120人余りが、国と熊本県、それに原因企業に賠償を求めた裁判で27日、大阪地方裁判所は、原告全員を水俣病と認定し、国などに合わせておよそ3億5000万円の賠償を命じました。

 昭和30年代から40年代にかけて熊本県や鹿児島県に住み、その後、関西などに移り住んだ128人は、水俣病に認定されていない人を救済する特別措置法で、住んでいた「地域」や「年代」によって救済の対象外とされたのは不当だとして国と熊本県、それに原因企業のチッソに賠償を求める訴えを起こしました。

 この日の判決で、大阪地方裁判所は、特別措置法の基準外でも水銀に汚染された魚介類を継続的に食べた場合は、水俣病にり患する可能性があるとする初めての司法判断を示して原告全員を水俣病と認定し、国などに1人当たり275万円、合わせておよそ3億5000万円の賠償を命じました。

 判決について、原告の弁護団は、「原告を切り捨てた施策の誤りを明確に断罪し、これまでの救済策の根本的転換を迫るものだ」などとして、28日、原告とともに環境省を訪れ、早期救済に向けて補償や施策などの具体的な協議を求めることにしています。

 水俣病が公式に確認されてから67年たった今も、救済されずに苦しみを訴える人たちがいる中で、今後の国の対応が注目されます。
 (以上、令和5年9月28日~9月29日。日本経済、読売、毎日新聞など参照)

 水俣病の詳細は下記、資料館をご覧下さい
 水俣病資料館
 https://minamata195651.jp/index.html
 映画『MINAMATA ―ミナマター』公式サイト
 https://longride.jp/minamata/

 この判決を聞いて、「映画MINAMATA -ミナマタ-」を思い出しました。
 2年前にジョニー・デップ主演で、真田広之、國村隼、浅野忠信なども出演した映画で、主演のジョニー・デップをはじめ、すべての俳優の演技に感動しました。そして坂本龍一の音楽も素晴らしかったです。
 特に、ラストシーンで「入浴中の母親が水俣病患者の娘を抱いてお風呂に入れるシーン」は美しく感動的で今も脳裏に焼き付いています。
 このシーンがこの映画の残酷さも含め全てを物語っていると感じました・・・・。

 今回の裁判では、大きく下記の3つの争点がありましたが全てについて、原告の訴えを認定しました。

  1. 特別措置法の基準の妥当性
  2. 原告全員を水俣病と認定できるか
  3. 改正前民法規定の「除斥期間」が適用されるか

 常識的な判断が出ました、法律とは常識です。
 今回の裁判長(達野ゆき)は、昨年9月に現地で進行協議を実施し、原告や被告の代表とともに船に乗って水俣湾などを視察したそうです。

 それにしても救済されるのが遅過ぎると思いませんか・・・・。

2023年 10月号

今月のことば

ゾウに乗ってバッタをつかまえる

(タイの諺)

「事務所通信10月号」

消費税インボイス制度開始!
10月1日以後の返品、値引き等への対応に注意!
経営制度対応だけではもったない!
「経営データの電子化」に取り組もう
経営黒字経営への道しるべ(第4回)
固定費管理は経営者の腕の見せどころ
トピック10月1日から景品表示法で規制される「ステルスマーケティング」

10月の税務カレンダー

<納付期限>
10月10日(火)


  • 9徴収分源泉所得税・特別徴収住民税の納付期限
10月31日(火)
  • 個人住民税(普通徴収)の納付(第3期分)
  • 固定資産税の第3期分の納付(納期限・・・10月中において市町村の条例で定める日)
<申告期限など>
10月31日(火)


  • 8月決算法人の確定申告期限
    (法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税)
  • R6年2月決算法人の予定(中間)申告期限
    (法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税)
  • 消費税・地方消費税の中間申告期限

事務所通信 9月号

事務所通信 9月号

今年の夏は「異常な状態」の猛暑でしたね、・・・・これは昨年の9月の挨拶です。

地球は「12万年ぶりの暑さ」だそうで、国連のグテレス事務総長は「地球の沸騰が始まった」と語りました。
山火事は、最も象徴的な現象で、異常気象は「新しい日常」になりつつあります。

「確実にやってくる未来」・・・・、将来世代のために、世界中で「社会の仕組み」の変革が必須になっています。

先日、通勤時に難波宮跡(公園)の赤信号で止まっていたら赤とんぼを見かけました。
今年の夏も「酷暑」でしたが、季節は秋になりつつあります・・・・、早く爽やかな季節が待ちどおしいですネ。
残り4ヶ月マイペースで頑張りましょう。

お知らせです!

 インボイス導入まで、残り1ヶ月を切りました。
 インボイスは準備が100%です、難しくありません。
 余裕を持って、ご準備お願いします。

 9月の巡回監査時には、8月のお盆休み前には、「経理担当者のための消費税インボイス制度対応チェックリスト」を郵送にて提供させていただきました。
 当チェックリストについて
(1)関与先企業が主体となって消費税インボイス制度に対応完了することを目的として、特に重要となる点を「発行」で7項目、「受取」で14 項目に絞ってチェックリスト化しています。
(2)結果として、10月1日以降の月次巡回監査の生産性向上につなげることを目指しています。

 経理担当者の皆様は、これを利用し「消費税インボイス」導入の最終チェックリストとしてご活用下さい。

 8月のお盆明けには、事務所通信特集号「仕入れインボイスを受け取るときの注意点」をお送りしました。

 令和5年10月以降、自社の従業員が、取引先から請求書(仕入インボイス)等を受け取った時の対応と、確認すべき注意点を理解していただくための特集号です。

 そして、9月には事前にすべての取引先との予行演習を終わらせて、疑問点、トラブルを洗い出しておいてください。
 10月1日には、余裕をもってインボイス(適格請求書制度)への対応をしておきましょう。

 疑問点や質問など、何時でも、何でもご相談ください。

会計で会社を強くする! 今回が最終回です。

1.会計で会社を強くする!

会計で会社を強くするTKC会計人の視点から、「会計で会社を強くする-簿記・会計先覚者の金言集」の第10回目をお届けします。
第1回は、20世紀を代表する経営学者「ドラッカー」の言葉、
第2回目は、日本を代表する幕末明治の啓蒙思想家の「福澤諭吉」でした。
第3回目は、世界最初に出版された複式簿記解説書の著者「ルカ・パチヨーリ」です。
第4回目は、「だらしない記帳は、破産者の特徴である。」で有名なヴユルテンベルク王国の商法草案です。
第5回目は、「複式簿記が商人にあたえてくれる利益は計り知れないほどだ。」ドイツの詩人、劇作家などで有名な、ゲーテです。
第6回目は、「世界で初めての国家的商法典である ルイ14世商事王令の起草者 サヴァリー」です。
第7回目は、「ドイツを代表する経営経済(会計)学者、レフソン」です。
第8回目は、「江戸時代の大坂の浮世草子人形浄瑠璃作者、俳諧師、井原西鶴」のお話です。
第9回目は、「会計がわからなければ真の経営者になれない。」日本を代表する経営者、稲盛和夫(京セラ名誉会長)のお話です。

 今回は、毎月の財務計算と経営計算結果の吟味と弱点発見に時間をかけよ。TKCの創設者、比較税法学の研究者でもあり多方面で一流の業績を残されている、故「飯塚毅」TKC全国会会長のお話です。

会計で会社を強くする一簿記・会計先覚者の金言集・解説一
 毎月の財務計算と経営計算結果の吟味と弱点発見に時間をかけよ。飯塚毅博士

飯塚毅
 TKC全国会を創設し、巡回監査を開発・普及させた不擦不屈の会計人
 飯塚毅『会計人の原点』*1より

毎月の財務計算と経営計算結果の吟味と弱点発見に時間をかけよ
 たとえばTKCの会計人の関与先企業には、毎月会計事務所から『一覧式総勘定元帳』、その下にある『月例経営分析表』、『仕訳日記帳』、『レーダー・チャート』、『損益分岐図表』、『月例損益予算比較表』、あるいは『資金管理表』、こういう色々な帳表が供給されます。供給される場合に経営者は、「何だ、先月の純利益はいくらだ。ああ、そうか。
ああ、後はわかった」、これでは困ります。そうではなくて、それを時間をかけて見てもらいたい。その数字には必ず自分の経営の弱点が顔を出してきます。自分の弱点はどれであるか、どこをどう直さなければならないか、ということについて、数字とにらめっこする時間をかなりもっていただきたいのです。そのことをなおざりにすると、これからの低成長時代の経営者としては生き残ることは難しいということです。
*1 飯塚(1981)154頁。

解説

 飯塚毅博士は、会計事務所の経営者、(株)TKCの創設者、TKC全国会会長、比較税法学の研究者という多方面で一流の業績を残されています。
 飯塚毅博士の業績の1つとして、「巡回監査」(月次巡回監査と決算監査)、特に「月次巡回監査」業務を開発し、わが国の会計事務所業務に一大改革をもたらしたことがあげられます。この業務は、米国会計人が行う「往査(Field Audit)」から着想を得たものとされますが、監査手続の1 つとして行われる「往査」(たとえば、棚卸資産の実査)とは異なり、会計人が関与先に毎月出向いて「全部監査」(「試査」ではない)を行うというものです。飯塚博士が開発した「巡回監査」業務は、シュンペーターがいうイノベーション(革新)といえるものであり、従来の会計事務所業務を一変させるものでした。

巡回監査の実践”
 陸軍少尉の辞令を懐に、昭和20年9月18日、わが家にたどり着いた飯塚毅博士は、これからの進路を考え、思案の結果、会計人の道を選びました。数字は嘘をつかないだろうと考えたからです(数字が嘘をつかないというのは誤断だったと後に述懐)。昭和21年4月1日、計理士の登録を済ませ、鹿沼市に飯塚毅会計事務所を開設しました。
 飯塚所長は女子職員に手提金庫を預けると、今後自分は関与先からの金銭の授受は直接行わず、金庫にも一切さわらないと宣言しました。会計事務所も小なりとはいえ、1個の経営体である以上、所長たるもの清廉潔白でなければならないとの信念からでした。開業当時は、関与先は全くのゼロ、昭和22年秋、待望の関与先第1号として、資本金5万円、従業員2名のある木工所が事務所の大きな看板を見て飛び込んできました。開業以来1年が経過していた。月額顧問料3千円で契約。以後次第に関与先が増加しはじめました。
 業務のかたわら、英米独仏等の会計事務所経営の関連書籍を読破するうちに、会計事務所から企業に出向いて会計記録をチェックし、取引の実在性等を検証する「巡回監査」という手法、さらに巡回監査業務の均質性を確保するために、チェックリストを有効活用することの2点を着想し、早速実行に移しました。巡回監査は毎月確実に、誠実に実行されました。飯塚毅会計事務所は着実に成長し、昭和35年当時には、鹿沼と東京の事務所をあわせて職員約40名、関与先約500件を数える規模にまで成長していました。
「業務の水準」として、「当事務所の業務は、法廷対抗力の具備をもって、その許容水準とする。この水準は、埋想として理解されてはいけない。この水準は、現実の業務の最低条件であり、当事務所に於いて作成される一切の文書は、絶対無条件に、この水準に合致しなければならない」とし、「この水準を故意に逸脱及至破壊せんとした者は、職階及び職歴の如何を問わず、職務上の反逆者として取り扱われる」と厳しい姿勢で臨んでいます。飯塚毅会計事務所の職員の保持する身分証明書には、脱税指導などをした場合は、直ちに解雇されると明記されていました。このように飯塚毅会計事務所は、法令遵守に厳格な姿勢で臨む、きわめて法意識の高い会計事務所でした。

「発生主義による月次決算」を指導
 飯塚博士は生涯を通じて数多くの講演をされていますが、経営者向けの講演の記録はそれほど残っていません。冒頭の引用は、昭和50年8月20日、東京・九段会館での講演を収めたものです。「経営者のモデル像」というテーマでの講演は次のような構成となっています。
 第1要件「脚下照顧が初めである」
 第2要件「経営方針を明確化し、創造性を導き出せ」
 第3要件「人的、物的資源の組織化を図れ」
 第4要件「経営の達成基準(成果基準、または許容基準)を明確化せよ」
 第5要件「人事管理をおろそかにするな」
 第6要件「経理は公開の方向に向かう、従って先取りせよ」
 第7要件「目標貫徹力の旺盛、不動心の錬磨」
 第8要件「経営主体が捨て身になれ」
「毎月の財務計算と経営計算結果の吟味と弱点発見に時間をかけよ」というからには、その前提として、「発生主義による月次決算」が「関与先側で行われていること」が必要になります。飯塚毅博士が開発し、巡回監査職員に使用せしめていた昭和24年当時の「巡廻監査報告書」には以下のチェック項目があります。これによれば、関与先によって売掛金・買掛金が正確に計上されていることが前提条件となっています。

売上・仕入・売掛・買掛・受手・支手・借入金・仮払金・仮受金・雑収入・雑費等について、いつでも明瞭なように、そして、起票漏れがないように、十分な注意を払った

 戦後、コロンビア大学の教授だったカール・シャウプ博士は、約4か月にわたり日本国内を視察し、昭和24(1949)年8月に「シャウプ勧告」を発表しています。この「シャウプ勧告」では、当時のわが国における記帳状況を「惨澹たる状況」としています。
 このように、昭和24年当時は、関与先企業側の記帳能力は乏しく、それゆえに、会計事務所が帳簿作成の相当部分を請け負う、いわゆる「会計事務所による丸抱え」全盛の時代でした。かかる状況下において、飯塚毅会計事務所では、関与先自らが「帳簿作成を行い、かつ発生主義による月次決算行っていること」を前提とした巡回監査を実施していたのです。
 飯塚博士の、「発生主義による月次決算」に基づいて「毎月の財務計算と経営計算結果の吟味と弱点発見に時間をかけよ」という思考は、時代を貫く不変の経営原理です。

法学博士、税理士、公認会計士。栃木県生まれ。福島高等商業学校、東北帝国大学。昭和21年飯塚毅会計事務所創業。欧米の会計書籍を渉猟し研究した結果、企業に赴き会計記録等の適法性、正確性等を検証し指導する「巡回監査」を開発。
法律に準拠し不当な税処分にはたびたび審査請求を行い当局の見解を覆す。ある日高級官吏の私怨を買い「飯塚事件」の当事者に。昭和45年11月の無罪判決。(飯塚事件は『不撓不屈』く高杉良・新潮社>で小説化、映画化)昭和41年(株)TKC創設。昭和46年TKC全国会結成(同時にTKC全国会会長就任)。日本会計研究学会太田賞受賞。
*1 飯塚毅博士:アーカイブ:飯塚毅会計事務所と巡回監査を参照。http ゾ/dr.takeshi-iizuka.jp/firm/establishment-01.html

(金言集は、TKC出版「会計で会社を強くする一簿記・会計先覚者の金言集・解説」坂本孝司著より引用)

 この「会計で会社を強くする」シリーズは、今回が最終回になります。
 最後に、故飯塚会長にしたのは、この職業で一番影響を受けた方なので・・・・。

 -毎月の財務計算と経営計算結果の吟味と弱点発見に時間をかけよ。-

 「月次決算で計算結果の吟味と弱点発見に時間をかけ」厳しい状況を乗り切りましょう。

2.原発処理水の放出開始!

 東京電力は24日、2011年の東日本大震災で被災した東京電力福島第一原子力発電所から出た処理水の海洋放出を開始しました。
 福島第一原発では、事故の直後から発生している汚染水を処理したあとに残るトリチウムなどの放射性物質を含む処理水が1000基余りのタンクに保管され、容量の98%にあたる134万トンに上っています。
 事故の発生から12年余りを経て、懸案となってきた処理水の処分が動き出しますが、放出の完了には30年程度いう長期間が見込まれ安全性の確保と風評被害への対策が課題となります。
 岸田首相は、記者団に対し「IAEAとしても連日高い頻度での原子力発電所からのモニタリングデータのライブ配信をはじめ、国際社会が利用できるさまざまなデータの公表など、透明性の向上に資する取り組みを実施していく予定で、「日本政府として緊張感を持って全力で取り組んでいく」と述べました。

 放出開始の後、東京電力の小早川社長は、取材に対し、きょうから処理水の放出を開始したが、引き続き、緊張感を持って対応していく。処理水の放出は、廃炉が終わるまで長い時間がかかるので、その間、安全性を確保し、地元の人たちの信頼に応えていく必要がある。「風評対策や迅速かつ適切な賠償などについて、全社を挙げて対応し、風評を生じさせない、県民の信頼を裏切らない、という強い覚悟のもと、私が先頭に立って対応してゆく」と強調しました。
 IAEA(国際原子力機関)のグロッシ事務局長は、放出の開始を受けて、声明を発表し、「IAEAの専門家は国際社会の目の役割を果たし、放出活動がIAEAの安全基準に合致していることを保証するため現地にいる」として、監視と評価活動を続ける方針を改めて強調しました。
 さらに声明では、専門家が、放出される水に含まれるトリチウムの濃度は東京電力が放出の基準として自主的に設けた1リットルあたり1500ベクレルをはるかに下回る値だと確認したと説明しています。

 国外の動きとしては、中国が日本の水産物輸入を全面的に停止すると共に、中国のSNSで反発の声や根拠のない投稿も拡散し、嫌がらせの電話も頻発しています。

 韓国では首相が「科学的基準と国際的手続きに従って放出されるのであれば、過度に心配する必要はないというのが専門家の共通意見だ」と指摘しましたが、最大野党は強く非難し、ソウルで抗議集会を開きました。
(以上、令和5年8月22日~8月27日。日本経済、読売、毎日新聞など参照)

 詳しくは、下記HPをご覧ください。

 ALPS処理水の海洋放出について
 https://www.meti.go.jp/speeches/danwa/2023/20230824.html
 ALPS処理水の処分に関する基本方針の着実な実行に向けた行動計画
 https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230822004/20230822004-3.pdf

 東京電力グループトップページ
 福島への責任
 https://www.tepco.co.jp/index-j.html

 「処理水放出問題」は、2011年に事故を起こした福島第1原発では溶け落ちた核燃料(デブリ)に触れた、放射性物質を含む汚染水が発生し続けている事が発端で、8年前に政府、東電が福島県漁連と文書で交わした約束は「関係者の理解なしには(処理水の)いかなる処分もしない」である。

 政府は、処理水の処分方法として海洋放出と水蒸気放出が現実的な選択肢と示したが、研究者などが提案するアメリカの汚染水処分でも用いられた半地下でのモルタル固化案なども検討したのでしょうか。他の手法との比較検討をせず、海洋放出への理解は得られないと思います。
 また、保管用タンクが満杯に近いというだけで放出をしていいのでしょうか?

 そして、処理水の放出は、今後40年を要する「廃炉」というさらに大がかりな事業のプロセスの一つに過ぎません。
 一番大事なことは、8年前の政府、東電が福島県漁連と文書で交わした約束は
「関係者の理解なしには(処理水の)いかなる処分もしない」です。

 漁業関係者の方は、一番分かっていると思います。
 分かっていないのは、
「関係者」(政府・東電・国民)ではないでしょうか

 福島漁連の野崎会長の言葉です。
 「国民の理解」は一体どうなんでしょう。
 国民全体での議論がまだ足りないのではないでしょうか?
 30年後に答えが出ます。

 具体的な行動を起こしましょう。
 今、中国への水産物の輸出は年間1,600~1,700億円です。この金額を日本国民1億人で割れば、一人当たり1,600~1,700円です、1年間にです。

 「国民の理解」に対する答えは、この当たりにあるのでは無いでしょうか。

 日本人よ、もっと魚を食べましょう・・・・。

3.ふるさと納税の「問題点」!

 総務省は1日、2022年度のふるさと納税による寄付額が9654億円と、前年度比16%増えたと発表しました。
 3年連続で過去最高を更新した。寄付件数も17%増の5184万件で過去最高でした。制度が浸透し、自治体は人気のある返礼品を用意して寄付を集めています。

 寄付額が最も多かった市町村は宮崎県都城市で195億9300万円でした。北海道紋別市が194億3300万円、北海道根室市が176億1300万円と続いています。

 都道府県別は北海道が1452億円、福岡550億円、宮崎466億円などが上位に並んでいます。兵庫県を除く46都道府県で伸ばしました。

 一方で、寄付を多く集める上位の自治体の固定化が目立ち、識者からは「新たな地方間格差が生まれている」との指摘があります。

 トップ自治体は、ブランド牛やカニやホタテなど、もともと国内有数の産地が目立ちます。総務省が上位自治体の公表を始めた14年度以降、常にトップ10に入り続けている都城市は、肉用牛の農業算出額が全国1位。焼酎「黒霧島」で知られる霧島酒造もあり、返礼品が寄付額の多さを下支えしています。ほかに紋別市はカニ、根室市はホタテ、佐賀県上峰町は米の産地です。
(以上、令和5年8月1日~26日。日本経済、読売、、産経、毎日新聞など参照)

 詳しくは、下記HPをご覧下さい。

 ふるさと納税に関する現況調査結果の概要

 https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zeimu04_02000114.html
 別紙
 https://www.soumu.go.jp/main_content/000897129.pdf

 ふるさと納税の歴史と当初の目的

 2006年に西川福井県知事による「故郷寄付金控除」導入の提案からで、西川知事は「将来を担う子供に未来を託し,地方は多額の行政コストをかけて育んでいるのに,大都市集中が放置されているわが国ではそのコストを税として回収する前に,大都市圏へ子供たちが流出してしまう」ことを問題提起しました。
 ここからわかるのは当初、ふるさと納税は「故郷」に寄付することで都市と地方の財政収支のアンバランスさを是正することにあったことです。

 その後、提案をうけてふるさと納税研究会を重ねていく中で、寄付の対象が出身地としての「ふるさと」のみになると制度が非常に複雑になり実現が難しいとなりました。そこで「ふるさと」を出身地という意味と、出身地ではないが貢献・支援したいと思う地域と広く捉えることで自分が寄付したい自治体を選べる制度として2008年から「ふるさと納税」は始まりました。(以上、出典は、百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)、「ふるラボ」などより)

 ふるさと納税を巡っては、いろんなメリット・デメリットがありますが、返礼品や節税目的だけで良いのでしょうか。
 制度開始から15年が経ち、制度の中身も少しづつ変わって来ました。

 皆様は何を基準に判断されていらっしゃるのでしょうか・・・・?
 このあたりで、当初の趣旨・目的に立ち返り、「本当に地方のためになる寄付先などを考えませんか・・・・、みんなで。

4.来年度概算要求、、3年連続110兆円超え!

 2024年度予算の財務省への概算要求が、一般会計で総額110兆円を超えることが24日わかりました。国債の元利払いに充てる国債費と防衛費はともに23年度当初予算から1割増、高齢化で社会保障費も伸びます。要求段階で110兆円を超えるのは3年連続となります。

 各府省庁の要求金額の大枠が固まりました。具体額を示さないで財務省に要望する「事項要求」を除いて23年度予算の概算要求は約110兆484億円です。

 国の来年度予算案の編成に向けて、各省庁が財務省に提出する概算要求は8月末に締め切られます。
 このうち、防衛費は、防衛力の抜本的な強化に向けて今年度予算の6兆7880億円から大幅な増加が見込まれています。

 また、国債の償還や利払いに必要な「国債費」について財務省は、今年度の予算を2兆8900億円上回る28兆1400億円を要望します。
 日銀が金利操作のより柔軟な運用を決めて以降、長期金利が上昇していることを反映して、想定される金利を1.1%から1.5%に引き上げるなどしたため利払費の増加が見込まれています。

 さらに、厚生労働省は高齢化に伴う社会保障費の増加を踏まえ、今年度の予算より5900億円多い、およそ33兆7300億円を要求する方針です。
 この結果、各省庁の要求総額は一般会計で、3年連続で110兆円を超える見通しです。

 今回の概算要求では、少子化や物価高騰といった重要政策について具体的な金額を示さずに要求することを認めていることから、要求額は実質的には、さらに上積みされる見込みです。
(以上、令和5年8月22日~28日。日本経済、読売、産経、毎日新聞など参照)

 8月号にも、
 24年度予算概算要求基準を閣議了解少子化対策など「金額示さず要求」認める!
 の記事をアップしていますので、そちらもご覧ください。
 https://oonokaikei.tkcnf.com/info-communication2023#ttl-202308

5.大谷選手二刀流2年連続、世紀の偉業達成!

 大リーグ・エンゼルスの大谷翔平が9日(日本時間10日)、本拠でのジャイアンツ戦で「2番・投手兼指名打者」で先発出場し、6回1失点で今季10勝目(5敗)を挙げ、メジャー史上初めてとなる2年連続の「1シーズンでの2桁勝利、2桁本塁打」を達成しました。

 大谷選手は大リーグ5年目の昨季、投手として2桁勝利(15勝)、打者として2桁本塁打(34本)をマークし、1918年のベーブ・ルース以来、104 年ぶりとなる「1シーズンでの2桁勝利、2桁本塁打」に到達していました。

 「野球の神様」と呼ばれるベーブ・ルースは、レッドソックス時代の1918年に13勝、11本塁打の記録を残し、翌19年は近代の大リーグで、当時のシーズン最多記録となる29本塁打を放って2年連続の本塁打王を獲得したものの、9勝にとどまり、2年連続の「1シーズンでの2桁勝利、2桁本塁打」は逃していました。

 大谷選手はプロ野球・北海道日本ハムファイターズ時代、2014年と16年の2度、「1シーズンでの2桁勝利、2桁本塁打」を記録したが、2年連続では達成していませんでした。

 今回の大谷選手の記録について、大リーグ事情に詳しい池井優・慶大名誉教授は、「大リーグでは昨季から(先発した投手が降板したあとも指名打者として出場できる)『大谷ルール』ができたが、移動の激しさやダブルヘッダーなど体への負担は、ベーブ・ルースのころより大きい。大谷選手は技術の向上に加え、体力をうまく温存しながら記録を達成した。2年続けて、一人二役をこなした空前の快挙」と話されています。
(以上、令和5年8月10日~8月11日。日刊スポーツ、日本経済、共同通信、毎日新聞など参照)

 大谷翔平選手が投打の二刀流による偉業をまた一つ積み重ねました。
 球史に刻まれた快挙にも本人は「単純に二つやっている人がいなかっただけかなと思う」と冷静なコメントを残しました。通過点に過ぎないということなのでしょう。

 NHKのBS放送で大谷選手のプレーを時々観ますが、全力プレーがこちらに伝わってきます。
 手を抜かない仕事ぶりには非常に共感を覚えます。

 ただ最近は頑張りすぎて、疲労がたまっているのか心配です。
 今後のことも考えてプレーしてほしいのですが、君は出場する限り全力プレーすることでしょう。
 あまり無理をしないで下さいネ。

2023年 9月号

今月のことば

希望に生きる者はつねに若い

三木清(哲学者)

「事務所通信9月号」

消費税インボイス制度直前対策
要注意!令和5年10月1日を“またぐ”取引のインボイス
経営黒字経営への道しるべ(第3回)
限界利益をしっかり確保しよう
トピック他人事じゃない!「物流の2024年問題」と荷主にできること
コラム能動的に人が動く?「仕掛け」のアイデア

9月の税務カレンダー

<納付期限>
9月11日(月)


  • 8月徴収分源泉所得税・特別徴収住民税の納付期限
<申告期限など>
10月2日(月)


  • 7月決算法人の確定申告期限
    (法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税)
  • R6年1月決算法人の予定(中間)申告期限
    (法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税)
  • 消費税・地方消費税の中間申告期限

事務所通信 8月号

事務所通信 8月号

 暑中お見舞い申し上げます。

 早く梅雨明けが来ないかな・・・・、と思っていたら気象庁は20日、「近畿地方が梅雨明けしたとみられる」と発表しました。
 平年より1日遅い梅雨明けで、梅雨期間は52日間だそうです。

 蝉の大合唱と暑さで、目が覚めやっと夏が来た感じがします。
 それにしても、毎日暑いですネ・・・・。

 20日NASA(米航空宇宙局)は、世界の平均気温が「7月の気温としては数百年、数千年ぶりの暑さを記録する可能性がある」と発表しました。
 異常気象による世界中の山火事のニュースも、そしてカナダの山火事は5月から現在も続き、制御不能で、「夏いっぱい続く」そうです。焼失面積は北海道の面積に匹敵するそうで煙害はニューヨーク、スペインにまで到達しています、
考えられないです・・・・。
 異常さは近くまで来ています。

お知らせです!

 インボイス導入まで、残り2ヶ月を切りました。
 インボイスは準備が100%です、難しくありません。
 余裕を持って、ご準備お願いします。

 自社のインボイス(適格請求書)は決まりましたか、巡回監査時に資料コピーをお願いします。
 おかげさまで、60%以上の方のインボイス(適格請求書)が決まりました。
 残りの皆様も8月の巡回監査時までには、確定(終了)をお願いします。

 8月の巡回監査時には、すべての取引先の受取インボイスのチェックの進捗状況を確認させていただきます。
 こちらは、すべての取引先の数だけチェックが必要です。

 また、8月のお盆休み前には、「経理担当者のための消費税インボイス制度対応チェックリスト」を郵送にて提供の予定です。
 当チェックリストについて
(1)関与先企業が主体となって消費税インボイス制度に対応完了することを目的として、特に重要となる点を「発行」で7項目、「受取」で14 項目に絞ってチェックリスト化しています。
(2)結果として、10月1日以降の月次巡回監査の生産性向上につなげることを目指しています。

 経理担当者の皆様は、これを利用し「消費税インボイス」導入の最終チェックリストとしてご活用下さい。

 そして、9月には事前にすべての取引先との予行演習を終わらせて、疑問点、トラブルを洗い出しておいてください。

 疑問点や質問など、何時でも、何でもご相談ください。

1.会計で会社を強くする!

 会計で会社を強くするTKC会計人の視点から、「会計で会社を強くする-簿記・会計先覚者の金言集」の第9回目をお届けします。
 第1回は、20世紀を代表する経営学者「ドラッカー」の言葉、
 第2回目は、日本を代表する幕末明治の啓蒙思想家の「福澤諭吉」でした。
 第3回目は、世界最初に出版された複式簿記解説書の著者「ルカ・パチョーリ」です。
 第4回目は、「だらしない記帳は、破産者の特徴である。」で有名なヴュルテンベルク王国の商法草案です。
 第5回目は、「複式簿記が商人にあたえてくれる利益は計り知れないほどだ。」ドイツの詩人、劇作家などで有名な、ゲーテです。
 第6回目は、「世界で初めての国家的商法典であるルイ14世商事王令の起草者サヴァリー」です。
 第7回目は、「ドイツを代表する経営経済(会計)学者、レフソン」です。
 第8回目は、「江戸時代の大坂の浮世草子人形浄瑠璃作者、俳諧師、井原西鶴」のお話です。
 今回(9回目)は、「会計がわからなければ真の経営者になれない。日本を代表する経営者、稲盛和夫(京セラ名誉会長)のお話です。

 会計がわからなければ真の経営者になれない。
 稲盛和夫日本を代表する経営者。京セラ名誉会長
 稲盛和夫『稲盛和夫の実学経営と会計』より。

 私は27歳の時に京セラを創業し、ゼロから経営を学んでいく過程で、会計は「現代経営の中枢」をなすものであると考えるようになった。企業を長期的に発展させるためには、企業活動の実態が正確に把握されなければならないことに気づいたのである*1。(まえがきより)

 会計がわからなければ真の経営者になれない
 われわれを取り巻く世界は、一見複雑に見えるが、本来原理原則にもとづいた「シンプル」なものが投影されて複雑に映し出されているようなものでしかない。これは企業経営でも同じである。会計の分野では、複雑そうに見える会社経営の実態を数字によってきわめて単純に表現することによって、その本当の姿を映し出そうとしている*2。

 解説

 稲盛和夫会長は、名実ともに現代日本を代表する経営者です。その著『稲盛和夫の実学経営と会計』は、「会計本は売れない」という出版業界において、長期間ベストセラーとなっています。経営者としての実績に裏付けられた稲盛会長の言葉には相当の説得力があり、多くの中小企業経営者に「簿記・会計」の重要性を気づかせました。「会計がわからんで経営ができるか」というキャッチ・コピーも刺激的です。

簿記・会計に関する経営者の認識
 稲盛会長は<もし、中小企業から大企業に至るまで経営に携わる者が、常に公明正大で透明な経営をしようと努めていたなら、また、企業経営の原点である『会計の原則』を正しく理解していたなら、バブル経済とその後の不況も、これほどまでにはならなかったはずである。私にはそう思えてならない*1>とされ、<経営者は、自社の経営の実態を正確に把握したうえで、的確な経営判断を下さなければならない*2>、<ところが日本では、それほど重要な会計というものが、経営者や経営幹部の方々から軽視されている。会計と言えば、事業をしていく過程で発生したお金やモノにまつわる伝票処理を行い、集計をする、後追いの仕事でしかないと考えているのである*2>と指摘されています。
 企業における会計に関して、「少なくとも会社であれば、毎日記帳して、月々の決算もやっているに違いない」という理解が一般的でしょうが、現実は、1月の業績を翌月2月中に「正確な月次決算数値」として把握している経営者は、260万社中2割に満たないと思われます。これが現実です。すべての事業体に共通するインフラである「簿記・会計」を経営のために有効に使っている経営者は意外なほど少ないのです。
*1稲盛(2000)5頁。*2稲盛(2000)40頁。

目標に到達させるためのインジケーター
 稲盛会長は、<会計の分野では、複雑そうに見える会社経営の実態を数字によってきわめて単純に表現することによって、その本当の姿を映し出そうとしている*3>、<これらの数字は、飛行機の操縦席にあるコックピットのメーター数値に匹敵するものであり、経営者をして目標にまで正しく到達させるためのインジケーターの役割を果たさなければならないからである*4>と主張されています。
 そして、企業会計について『稲盛和夫の実学経営と会計』を見ると、「本質追究の原則」、「キャッシュベース経営の原則」、「一対一対応の原則」、「筋肉質経営の原則」、「完璧主義の原則」、「ダブルチェックの原則」、「採算向上の原則」、「ガラス張り経営の原則」という八つの原則を考え方の基本としています。

いいときも悪いときもフェアであれ
 同書には、京セラが始めて株式を上場する際に、決算書監査の必要から公認会計士(宮村久治氏)を紹介され、両人がはじめて会った時のエピソードが記されています*5。
 「監査をしている会計士に、『このくらいは負けてくれよ、このくらいはいいではないか、堅いことをいうな』というようなことを言う経営者がいます。私はそういう方とは一切お付き合いをしたくありません。経営者はフェアでなければいけません。正しいことを正しくやれる経営者でなければ、私は監査の依頼をお受けしません。よろしいですか」(宮村)。私はすぐさま応じた。「結構です。私の生き方がそうなんですから。願ってもないことです」(稲盛)。
すると、このような言葉が返ってきた。「みんなそう言うんです。今は会社の調子がいいから、そう言われるんです。
経営がおかしくなって調子が悪くなってくると、何とかせいと必ず言うようになります。人間というのは、調子がいいときにはみんなフェアで、文句を言いません。ところが、悪いときにもフェアであるかどうか。それを私が見抜かなければいかんのです」(宮村)、「その点は約束しましょう。いいときにだけきれい事を言うんじゃなしに、悪いときでもあくまでフェアに。それを私は守っていきます。信用してください」(稲盛)。※カッコ書きは筆者挿入
 なんとも見事なやりとりです。公認会計士や税理士には「廉潔性(Integrity,Integritat)」という職業義務が課せられています。廉潔性とは、どのような場合であっても、独立性や公正性を保持し、利害関係者(クライアント、株主や金融機関など)とは一線を画して、専門家として誠実に職務を遂行することをいいます。職業会計人の社会的な評価はこの「廉潔性」に尽きると言っても過言ではありません。

 廉潔性は職業会計人にだけ求められるものではありません。経営者にも「いいときでも、悪いときでもあくまでフェアに」という誠実さが求められます。それが真に成功する経営者の基礎的条件です。職業会計人には、身体を張ってそうした経営者を作り上げていく気概も必要です。

経営状況の適時の把握
 会計というものは、経営の結果を追いかけるためだけのものであってはならない。いかに正確な決算処理がなされたとしても、遅すぎては何の手も打てなくなる。会計データは現在の経営状態をシンプルにまたリアルタイムで伝えるものでなければ、経営者にとっては何の意味もないのである*6〉との指摘も重要です。まさに会社経営における「実学としての会計」の重要さを稲盛会長は説いています。
鹿児島大学工学部卒。京都の碍子メーカーである松風工業に就職。1959年4月、知人より出資を得て、資本金300万円で京都セラミック株式会社(現京セラ)を設立し、社長、会長を経て、1997年から名誉会長を務める。1984年第二電電企画株式会社を設立し会長に就任。2000年DDI(第二電電)、KDDJDOの合併によりKDDI株式会社を設立。2010年経営破綻に陥った日本航空(JAL現日本航空株式会社)の再生のため会長を無給で務めた。経営塾「盛和塾」の塾長として、経営者の育成に心血を注ぐ。
*1稲盛(2000)3頁。*2稲盛(2000)4頁。*3稲盛(2000)40頁。*4稲盛(2000)5頁。*5稲盛(2000)72-73頁。*6稲盛(2000)41頁。

 (金言集は、TKC出版「会計で会社を強くする一簿記・会計先覚者の金言集・解説」坂本孝司著より引用)

 次回は、「月次損益計算は経営の成行を速く注視し得るものである。」動態論を提唱し、近代会計学の理論的基礎を築いたドイツの経営経済(会計)学者シュマーレンバッハのお話です。
 ご期待ください。

2.24年度予算概算要求基準を閣議了解少子化対策など「金額示さず要求」認める!

 政府は25日、2024年度予算編成で各省庁が財務省に予算要求する際のルールとなる概算要求基準を閣議了解しました。岸田政権の経済政策「新しい資本主義」の実現に向け、23年度に続き4兆円超の「重要政策推進枠」(特別枠)を設置し、予算を重点配分します。焦点の少子化対策や物価高への対応については「予算編成過程で検討」とし、要求段階で金額を示さない「事項要求」を幅広く認めます。

 特別枠で要望を認める対象は、少子化対策や構造的賃上げの実現、防衛力の抜本的強化、官民連携による投資拡大などとしました。

岸田総理
「令和6年度予算において、コロナ禍を脱し、経済を正常化させる中で、歳出構造を平時に戻していくとともに未来への投資の拡大と、構造的賃上げの実現に向けた新しい資本主義の取り組みをさらに加速させてまいります」

 各省庁は8月末までに財務省に概算要求を提出し、内容を財務省が査定して予算案を決定します。
 そして、政府は与党との調整を踏まえ、年末までに政府予算案を作成する。国債の利払いや償還費を含めた一般会計の要求総額は10年連続で100兆円を超える見通しです。

 ※.概算要求とは、各省庁が財務省に対して行う次年度予算の最初の要求のこと。例年、政府が7月ごろに閣議で決める概算要求基準(シーリング)に従い、8月末をめどに提出する。シーリングとは、英語で天井・限度を意味し、予算要求を絞り込ませるため、事業分野ごとに設定する限度額を言います。

 ※.事項要求とは、現時点で政策の内容や規模が決まっていないことなどから、要求段階では金額を示さず項目だけを要望する手法です。
(以上、令和5年7月15日~7月30日。日本経済、読売、毎日新聞など参照)

 詳しくは、下記HPをご覧ください。

 令和6年度予算
 https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2024.html
 令和6年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について(閣議了解)
 https://www.mof.go.jp/policy/budget/sy230725c.pdf
 「令和6年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」(令和5年7月25日閣議了解)の骨子
 https://www.mof.go.jp/policy/budget/sy230725b.pdf
 令和6年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について(イメージ)
 https://www.mof.go.jp/policy/budget/sy230725a.pdf

 鈴木財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
 https://www.fsa.go.jp/common/conference/minister/2022b/20220729-1.html

 概算要求基準は歳出上限を示す「シーリング(天井)」とも呼ばれます。
 14年度以降11年連続で上限は示していません。上限がない一方で「事項要求」が多く、歳出の膨張を招きやすい構造が続いています。
 「事項要求」が多用されれば歳出が膨らみかねないという懸念については、鈴木財務大臣は会見で「概算要求基準は各省庁からの要求要望に関する方針を定めるもで、最終的な予算は関係省庁と議論しつつ、財務省における厳格な査定を経て決定されるものである」と述べ、財政の健全化にも取り組む姿勢を強調しました。

 いずれにしても、将来世代には付け(借金)を回さないでネ、・・・・。

3.基礎的財政収支高めの成長でも2025年度赤字見込み!

 内閣府は25日の経済財政諮問会議で、2025年度の国・地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)が1.3兆円の赤字になるとの中長期試算を示しました。物価高で税収が上振れし、1月の試算から赤字幅は0.2兆円縮んだものの、政府がかかげる黒字化は達成できない形となり、黒字化は26年度になるとの見通しを据え置きました。

 例年1月と7月の年2回、最新のデータに基づいて試算し公表しています。PBは社会保障や公共事業といった政策に必要な経費を借金に頼らず、税収でどのくらい賄っているかを表します。

 PBは22年度の27.8兆円の赤字から改善を見込むが、歳出増加が予想される少子化対策などは未反映で、収支改善に課題は残ります。

 国内総生産(GDP)が20年代後半に実質で2%弱、名目で3%程度のペースで伸びる「成長実現ケース」で、25年度のPB赤字が1.3兆円となりました。1月の試算から0.2兆円ほど圧縮したものの、赤字額のGDP比ではマイナス0.2%で横ばいにとどまりました。

 成長実現ケースは企業の技術革新などを反映する「全要素生産性」がバブル期並みの1.4%ほどで伸びる前提に立ちます。楽観的過ぎて前提が甘いとの批判は以前からあります。

 ※.基礎的財政収支(プライマリー・バランス)とは、税収・税外収入と、国債費(国債の元本返済や利子の支払いにあてられる費用)を除く歳出との収支のことを表し、その時点で必要とされる政策的経費を、その時点の税収等でどれだけまかなえているかを示す指標をいいます。
(以上、令和5年7月15日~18日。日本経済、読売、、産経、毎日新聞など参照)

 詳しくは、下記HPをご覧下さい。

 中長期の経済財政に関する試算(令和5年7月25日経済財政諮問会議提出)
 https://www5.cao.go.jp/keizai3/econome/r5chuuchouki7.pdf
 ポイント資料
 https://www5.cao.go.jp/keizai2/keizai-syakai/r5point7.pdf

4.ビッグモーター不正で国交省が一斉立ち入り、行政処分視野!

 中古車販売大手ビッグモーター(東京・港)の保険金不正請求問題で、国土交通省が28日、同社の全国34事業所に一斉に立ち入り検査しました。不正行為の悪質性とまん延を重くみて、幹部聴取からわずか2日で異例の大規模調査に踏み切りました。調査は法令違反の認定を視野に入れたもので、行政処分が現実味を帯びてきました。
 道路運送車両法が認めていない、不当な「依頼のない整備」は行われていたようで、また、車という、他人の所有物を故意に傷つける行為は、器物損壊罪に当たります。

 斉藤鉄夫国交相は、違反が認められれば厳正に処分するとしており、今後、同社に事業停止といった行政処分が科される可能性がある。

 金融庁も同日、関東財務局が同社幹部を聴取し、調査を始めました。一連の問題は国が本格調査に乗り出す事態にもなってきました。
 保険金の不正請求問題で、損害保険ジャパンなど大手4社と中堅3社の損保7社に保険業法に基づく報告徴求命令を出す方針も固めたようです。ビッグモーターとの取引実態や保険契約者への対応について報告を求め、契約者保護で問題がなかったか詳しく調べます。
 交通事故の被害者を救済するための公的保険が「取引材料」となり、もたれ合いの温床になっています。

 検査などの結果、道路運送車両法違反を認定すれば、同省は整備工場ごとに行政処分を検討です。
 同法に基づく行政処分は、①民間車検場の指定や工場の認証取消し②一定期間の業務停止、の2つです。
 指定や認証が取り消されれば2年間は再取得できません。
 (以上、令和5年7月26日~29日。日本経済、読売、産経、毎日新聞など参照)

 ビッグモーターは中古車販売市場のトップでシェア約15%を占め、全国に約300店舗を構えています。
 業界のトップ企業が利用者・消費者の信頼を裏切った責任は計り知れません。また自社だけでなく、業界の信用も失墜させました。
 行政処分で、指定や認証取消し、また一定期間の業務停止になれば、会社の存続も厳しいものになります。自業自得でしょうが。

 一部の業者の行為が業界全体の不審感に繋がります。
 今後、私も含め車を利用する人は、お金もですが、命の安全性がより心配です。
 本当に、修理・車検など信用して良いのでしょうか・・・・。心配です。

 丁寧な、仕事をお願いします!

5.三越伊勢丹消費税申告漏れ、7億円消費税追徴課税!

 消費税の免税販売をめぐり、百貨店大手の三越伊勢丹(東京都新宿区)が東京国税局の税務調査を受け、2022年3月期までの3年間に消費税約6億4千万円の申告漏れを指摘されたことがわかりました。入国後6カ月以上経過するなど、免税要件を満たしていない外国人客への販売があったとみられます。過少申告加算税などを含む追徴税額は約7億円で、すでに修正申告しました。

 また、大丸松坂屋百貨店は、訪日客への免税販売をめぐり、29日、2022年2月期までの2年間に約3億9千万円の消費税の申告漏れを東京国税局から指摘されたと明らかにしました。追徴課税(更正処分)は過少申告加算税を含め約4億3千万円ということです。

 また大阪では、訪日客らへの免税販売をめぐり、阪急阪神百貨店(本店・大阪市北区)が、2022年3月期までの3年間に消費税の申告漏れを大阪国税局から指摘されていたことが分かりました。免税にならない転売目的の購入が複数あったとみられます。追徴税額は過少申告加算税を含む約2億円で、指摘を受けた同百貨店は修正申告し、全額納付しています。

 関係者によると、大阪国税局の税務調査を受けた際、複数の店舗で、来日から6カ月以上経過した免税対象外の外国人に販売するなど、免税要件を満たさない取引が見つかりました。中国人らが化粧品などを大量購入し、転売目的が疑われる不審な取引もあったということです。
 店側は購入客のパスポート番号などのチェックをしていたが、確認が不十分だったとみられます。
 (以上、令和5年6月30日~7月29日。日本経済、読売、毎日新聞など参照)

 消費税は日本国内での消費にかかるため、訪日の観光客らが商品を国外に持ち帰る場合、免税での購入が認められています。認められる要件として、転売目的でないことや「来日から6カ月未満」などがあります。

 免税販売をめぐっては米アップルの日本法人「アップルジャパン」(約140億円)や化粧品卸会社や輸出会社(約44億円)が追徴課税されています。
 また、東京国税局の職員がマンション投資による消費税の不正還付でを懲戒免職処分になっています。
 恥ずかしいですよね。

 消費税が10%になってから、転売目的の購入が増えています。
 免税販売をめぐっては、百貨店などのニュースが多いようですが、売上げを優先するあまり、上記の要件のチェックが甘かったようですね。
 やはりここでも、売上げ優先では無く丁寧な仕事が大事ですね。

 一方、購入品を持たず出国する場合は、「免税手続きの電子化」によって出国時のチェックもスムーズに出来るようになりましたが、納税せずに出国した場合は徴収は困難になります。身柄の拘束は難しく出国を止められないからです。
 日本でも海外と同じ
リファンド方式の導入を検討すべき時期に来ています。
 税関の報告でも、昨年度22億円中、21億円が徴収されていません。

 リファンド方式」とは、購入時の免税を認めず、出国時に確認してから還付を受ける方式のことです。

 犯罪者になめられているようで歯がゆいですね。
 「リファンド方式」の導入を早急に検討すべきです。

2023年 8月号

今月のことば

義を明らかにして利を図らず

山田方谷(陽明学者・備中松山藩士)

「事務所通信8月号」

経営黒字経営への道しるべ(第2回)
売上高に注目してみよう!
消費税インボイス制度直前対策【本則課税事業者向け】
受け取るインボイスの対応状況を確認しましょう
トピック自社を客観的な視点で見てくれる
金融機関とコミュニケーションをとろう!
コラムコロナ過から復活する日本の祭り

8月の税務カレンダー

<納付期限>
8月10日(木)


  • 7月徴収分源泉所得税・特別徴収住民税の納付期限
  • 7月分の個人住民税の特別徴収税額の納付(第2期分)
    (納期限・・・8月中において市町村の条例で定める日-通常は8月末日)
  • 個人事業税の納付(第1期分)
    (納期限・・・8月中において市町村の条例で定める日-通常は8月末日)
<申告期限など>
8月31日(木)


  • 6月決算法人の確定申告期限
    (法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税)
  • R5年12月決算法人の予定(中間)申告期限
    (法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税)
  • 消費税・地方消費税の中間申告期限
    個人事業者の令和5年度分消費税及び地方消費税の中間申告

事務所通信 7月号

事務所通信 7月号

 最近は、梅雨らしい季節になってきましたね。

 一年で最も昼が長い日(夏至<げし>)が過ぎ、そして七夕の行事が行なわれる7月7日は「小暑」を迎えます。
 そして23日は「大暑」です。

 日増しに夏の暑さが本格的になっていく時季です。特に梅雨明け後は、陽差しの強さと気温が一気に上昇するため、熱中症にご用心ください。

 早く梅雨明けが来ないかな・・・・、です。

お知らせです!

 インボイス導入まで、残り3ヶ月を切りました。
 インボイスは準備が100%です、難しくありません。
 余裕を持って、ご準備お願いします。

 自社のインボイス(適格請求書)は決まりましたか、巡回監査時に資料コピーをお願いします。
 また、すべての取引先の受取インボイスのチェックの進捗状況はどうでしょうか。
 こちらは、すべての取引先の数だけチェックが必要です。

 疑問点や質問など、何時でも、何でもご相談ください。

1.会計で会社を強くする!

 会計で会社を強くするTKC会計人の視点から、「会計で会社を強くする-簿記・会計先覚者の金言集」の第8回目をお届けします。
 第1回は、20世紀を代表する経営学者「ドラッカー」の言葉、
 第2回目は、日本を代表する幕末明治の啓蒙思想家の「福澤諭吉」でした。
 第3回目は、世界最初に出版された複式簿記解説書の著者「ルカ・パチヨーリ」です。
 第4回目は、「だらしない記帳は、破産者の特徴である。」で有名なヴユルテンベルク王国の商法草案です。
 第5回目は、「複式簿記が商人にあたえてくれる利益は計り知れないほどだ。」ドイツの詩人、劇作家などで有名な、ゲーテです。
 第6回目は、「世界で初めての国家的商法典であるルイ14世商事王令の起草者サヴァリー」です。
 第7回目は、「ドイツを代表する経営経済(会計)学者、レフソン」です。

 今回(8回目)は、「江戸時代の大坂の浮世草子人形浄瑠璃作者、俳諧師、井原西鶴」のお話です。

 萬の事に付て、帳面そこそこにして算用細かにせぬ人、身を過るといふ事ひとりもなし。
 井原西鶴-
 江戸時代の大坂の浮世草子人形浄瑠璃作者、俳諧師
  (一井原西鶴『西鶴織留』所収「只(ただ)は見せぬ佛の箱」*1より

 丹後の国切戸(きれど)の文殊堂に、金堤童子(かねたいどうじ)という脇立ちの仏像がある。これを開帳する時は、銭百文ずつに極めて置いて、諸人に拝ませた。この童子は知恵の箱というものを抱いてたっておられる。愚かな参拝の人々は、これを拝むと、仏の知恵が授かるように思っていた。だがその身の生まれつきの思慮のないのは、文殊菩薩でもどうにもならないことである。智恵の箱と名づけて見せられるのは、実は諸商人のその家々の帳箱になぞらえたものだ。年中収支の勘定を油断なく注意せよという見せしめなのだ。万事につけて、帳面を大ざっぱにつけ、勘定を細かにしない者が、無事に世渡りするのは一人もいない(年中請払ひをゆだんなくこころに掛けよ萬の事に付て、帳面そこそこにして算用細かにせぬ人、身を過るといふ事ひとりもなし)。必ず自堕落者のくせに、「人間は百年の栄華を望むことは到底できない。
人生わずか50年のはかない浮世で、子孫のことまで心配しておくのは、愚かな人間の心である。自分のみに仕合わせさえ授かっておれば、安楽に世渡りができるものだ。たとえ親から財宝を譲り受けても、運がなければ貧乏人となることだ」と、その場しのぎに一日暮らしをする。こんな心得違いの親は、それ相応の借金を子供に負わせるものだ。

解説
『西鶴織留』は、西鶴死没の翌年、元禄7(1694)年の3月に、西鶴の遺稿を基に大本6卷6冊の体裁で公刊されました。『日本永代蔵』『世間胸算用』とともに町人物に属します。「町人物」とは、江戸時代の浮世草子の中で、主として当時の町人の経済生活を描いたものです。

当時の経験則
『日本永代蔵』は、各卷5章、6卷30章の短編からなり、金持ちはいかにして金持ちになったかを、町民の生活の心得を飾らずに描いた内容になっています。
 一例を挙げれば、「薄人馬方鎧屋の庭」という話は、「北国では大雪が降るため、半年ほど何もしないで煎じ茶を飲んで日を過ごす。坂田の町に鎧屋という大問屋があった。昔は小さな宿屋であったが、才覚があったので、近年次第に家が栄え、今では惣左衞時という名を知らない者はいないほど有名である。屋敷に家蔵を建て、台所のありさまは、めざましく活気にあふれている。米味噌の係り、魚の係り、料理人、菓子の係り、煙草の係り、茶の間の係りなどを定めている。また、商いの手代、支払の係り、記帳の係り、漆塗りの食器部屋の係りなど、諸事を1人に1役担当させ万事うまく処理させている*1」というものです。
 町人物は、当時の商人・民衆の経済生活の描写であり、『永代蔵』での西鶴の経済情勢に対する認識は正確であるとされています。経済都市大阪の中で、寛文期以後の大阪の高度成長とそのかげりが現れ始めている貞享期の現状を見続けてきた元商人西鶴は、その経済状況を種々の側面から把握し描き挙げました*2。
 こうした前提で、『西鶴織留』、それと同時代に書かれた『日本永代蔵』と併せて読み取れば、西鶴は、「事業の成功者(鋭い商人)は正確に帳簿を記帳しており、帳簿をいい加減にしている商人は誰1人として成功しない」という当時の商人間に伝わる経験則を記述した、と結論づけられます。これは、ルカ・パチョーリが1494年の『スムマ』で述べた「秩序のないところではすべては混乱に陥る」、ドイツのヴュルテンベルク王国の1839年商法草案が言及した「だらしない記帳は破産者の特徴である」という経験則とも一致します。
*1現代語訳は麻生/冨士(2003)151-152頁を参照。

国・地方公共団体の会計
 日本の政府会計は未だに複式簿記を採用していません。アレックス・カーは「正しい情報の重要性とは、コモンセンスであり、日本人は伝統的に現実より理想を重んじてきたとはいえ、江戸時代の鋭い商人は、正確に帳簿をつける意味をよく理解していた。西鶴はこう書いている。『万の事に付てそこそこにして算用こまかにせぬ人、立身出世するといふ事ひとりもなし』。事実を軽んじる官僚の態度は古い社会観念というものよりも、ある意味でまったく新しいことである。伝統文化のある一面だけを極端に推し進めたと言える。官僚が事実を無視しても困らないという仕組みは、きわめて単純な原因から生まれたのかもしれない。西鶴の時代には、ずさんな経理をすれば商人はすぐトラブルに巻き込まれた。だが今日の日本では、官僚は無制限の予算を持ち、国民に対する説明義務もなく、何十年でも失敗を隠し通すことができる*3」と述べています。
 国および地方公共団体は自らの会計に複式簿記を採用すべきでしょう。複式簿記には、「自己報告による健全経営遂行機能」があります。国会議員諸侯、官僚諸氏は、「商人の取引において、記録についての正しい秩序がなければ自らを統制することは、およそ不可能だからである。そして、彼らの心は、常に休まらず大なる苦悩の中におかれることになるからである」(『スムマ』、1494年)と喝破したルカ・パチョーリの言葉をかみしめる必要があります。

「適時の記帳」と「経営状況の適時の把握」
「年中収支の勘定を油断なく注意せよ」(年中請払いをゆだんなくこころ掛けよ)とは、日々帳簿を記入して、事業の収支状況を常時把握しなさいということです。江戸時代の帳簿は複式簿記ではなく、大福帳を中心とした単式の簿記ですが、単式・複式という差はあったとしても、「適時の記帳」とそれに基づく「自社の経営状況の適時の把握」の重要性は変わりません。「勘定を細かにしない者が、無事に世渡りするのは1人もいない」という経験則、原理原則は、四百数十年たった現在でも新鮮です。
*1 原文は村田(1977)73-75頁を参照した。*2 谷森/吉行(1991)78頁。
*3 アレックス・カー(2002)126-127頁。

 (金言集は、TKC 出版「会計で会社を強くする一簿記・会計先覚者の金言集・解説」坂本孝司著より引用)

 次回は、「会計がわからなければ真の経営者になれない。」日本を代表する経営者、稲盛和夫(京セラ名誉会長)のお話です。
 ご期待ください。

2.「マイナ」トラブル次々

 マイナンバーカードと健康保険証の一体化や、マイナンバーの利用範囲の拡大などを盛り込んだ関連する法律の改正法が、2日の参議院本会議で賛成多数で可決・成立しました。
 改正法の成立によって健康保険証は来年秋に廃止されマイナンバーカードと一体化されます。

 一方で、カードをなくした人なども保険診療を受けられるように「資格確認書」を提供し、現在の健康保険証も廃止後、最長1年間は有効にする経過措置を設けることなどが盛り込まれています。

 マイナンバーは法律で社会保障と税、それに災害対策の3分野に利用できる範囲が限定されていますが、今回の改正法によって自動車に関わる登録、国家資格の更新、外国人の行政手続きなどの分野にも、範囲が広がります。

 一方、マイナンバーカードをめぐっては、トラブルが相次いで明らかになっています。
 トラブルの事例は、下記のようなものです。

 ①マイナンバーと一体化した保険証に別人の情報登録
 ②公金受取口座を別人のマイナンバーに登録
 ③マイナポイントを誤って別人に付与
 ④マイナンバー活用の住民票写しなどの交付で別人の証明書を付与
 ⑤本人が希望していないのにマイナンバーカードと健康保険証を一体化

 マイナンバーと一体化した保険証に別人の情報が登録されるミスは7300件余り。
 また、国の給付金などを受け取る公金受取口座が、家族ではない無関係な別の人のマイナンバーに登録されたとみられるミスも大幅に増えて、748 件確認されました。

 マイナンバーの制度への信頼が揺らぐ事態に政府の対応が問われています。
(以上、令和5年5月6日~6月23日。日本経済、読売、毎日新聞など参照)

 なぜ、ここまでトラブルが広がってしまったのでしょうか。

 個別の事例によって、原因は異なるものの、これまで国はいずれのミスについても「人為的なミス」を強調してきました。
 しかし、トラブルの背景には、より根本的な問題があります。
 公金受取口座では、マイナンバーのシステムには氏名の「ふりがな」がなく、漢字のみが登録されています。
 一方、金融機関の口座はカタカナのふりがなで登録されているため、現在はシステム上で両者の名義が一致しているかどうかの照合ができません。
 つまり、全くの他人や本人以外の家族の口座でもはじかれることなく、登録できてしまう仕組みとなっているのです。

 また、マイナンバーカードの普及を急速に推し進めて来たことも、今回の相次ぐトラブルとは無関係とは言えません。
 マイナンバーカードの交付が始まったのは7年前(2016年)ですが、申請が増えたのは、政府がカードの取得を促すために買い物などに使えるマイナポイントを導入してからです。
 マイナンバーカードの申請件数は6月4日時点の累計で、国民の77%にあたる9707万枚余りにのぼり、おととし3月末の2倍以上に増えています。

 政府がマイナンバーカードの普及を急いできた背景には、コロナ禍での苦い経験があります。
 給付金を迅速に受け取れないといった批判が相次ぎ、行政のデジタル化の後れが浮き彫りになりました。

 マイナポイントでは誤って別人にポイントを付与したケースも相次ぎましたが、トラブルの要因となったのは事務負担を軽減するために取った措置で、もともとは手続きの際に本人確認を2回行う仕組みでしたが、簡素化のために本人確認を1回にしたことで、トラブルが相次ぎました。

 1億人を超える国民を対象とするシステムでトラブルをゼロにするのは難しいですが、防止対策の準備やトラブル発生時の対処にも問題がありそうです。

 政府は一連のトラブルを受けて、既存データやシステムの「総点検」を進めています。
 公金受取口座では、デジタル庁がマイナンバーと口座の名義を照合できるよう2025年6月までのマイナンバーに関する改正法の施行にあわせてシステム改修を行うとしています。

 それまでの間の対応としては、マイナンバーの氏名の漢字と金融機関の口座の名義のふりがなを照合する新たなシステムを年内をめどに開発し、実用化を検討するとしています。

  問題点を検証し、再発防止を着実に進めていけるかが厳しく問われています。

  緊張感を忘れないでね!

3.防衛費増額に向けた財源確保法賛成多数で可決成立!

 政府が今の国会の最重要法案と位置づける、防衛費増額の財源を確保するための特別措置法(財源確保法)が、16日の参議院本会議で与党の賛成多数で可決・成立しました。立憲民主党や日本維新の会などは、増税が前提になっている法案だなどとして反対しました。

 財源確保法は、歳出改革や決算剰余金、それに国有財産の売却など、税金以外の収入を複数年度にわたって活用できるようにするため、一般会計に「防衛力強化資金」を創設することが盛り込まれています。

 政府は、財源のうち歳出改革などで足りない部分については、所得税の納税額に新たに1%の付加税を課すことなどで確保する一方、東日本大震災からの復興予算にあてる「復興特別所得税」の税率を1%引き下げたうえで、課税期間を延長する方針です。
 このあたりは、1月の「令和5年度税制改正勉強会」でもお話させて頂きました。

 特措法は、防衛力強化に向け、税外収入を積み立てて複数年度にわたって防衛費に充てる「防衛力強化資金」の新設が柱で、2023年度予算に計上した税外収入4・6兆円を活用します。内訳は、特別会計からの資金繰り入れや、新型コロナウイルス対策で増加した独立行政法人の積立金の前倒し返納などです。
(以上、令和5年6月9日~18日。日本経済、読売、、産経、毎日新聞など参照)

 税外収入は国有財産の売却や特別会計からの繰入金など。財源はほかに歳出改革一般会計の決算剰余金、増税です。
 防衛力強化資金が創設されると四つの財源が既定路線となるため、増税に反発する野党が反対していました。

 政府が同日閣議決定した経済財政運営の指針「骨太の方針」で、先送りを示唆です。
 従来の方針は24年以降としていましたが、骨太の方針では、増税時期について「2025年以降のしかるべき時期とすることも可能となるよう」と明記です。選挙を念頭に増税を嫌う自民党からの提言を受け、延期される可能性が出てきました

 「5年間で総額43兆円」と支出の規模ばかりが先行し、どの財源も盤石ではありません。
 近年の当初予算では税以外の収入は5兆~6兆円ほどで推移し、歳入の5~6%を占めます。「税外収入をほかの予算項目から回す形で賄うことになれば、その分国債の発行が増える。防衛費増に国債を使わないとする政府方針が看板倒れになります。
 決算剰余金についても近年は経済対策の財源に使われてきました。剰余金の半分は借金返済に充てられるルールのため、防衛費に回れば回るほど、暮らしに必要な政策の財源が不足することになり、代わりの借金が増える恐れがあります。

 防衛費増と同様に、岸田政権が重点を置く少子化対策の財源も骨太の方針で詳細は示されず、結論は年末に持ち越しです。

 岸田首相は、「問題の先送り」が多すぎです。
 「先送り」は、問題解決になりません。

 本来は「歳入と歳出(規模、内容、財源)」は一体(同時)で決めるべきです。

4.ワクチン業務で過大請求近畿日本ツーリストの支店長ら3人逮捕!

 新型コロナウイルス関連事業の受託を巡り、近畿日本ツーリスト(以下、近ツリ)が自治体に対し人件費などを過大請求した事件で、大阪府警は15 日、大阪府東大阪市から約5億8900万円をだまし取ったとして、同社の関西法人MICE支店(大阪市浪速区)支店長、森口裕容疑者(54)=奈良県天理市=ら社員3人を詐欺の疑いで逮捕しました。

 逮捕容疑は2021年9月〜22年4月、共謀の上、東大阪市から受託した新型コロナワクチン接種のコールセンター業務について、電話オペレーターの人数を水増しした書類を同市に提出し、業務委託費として約5億8900万円を振り込ませ詐取した疑い。このうち水増し分は約1億5900万円に上るということです。

 近ツリの発表などによると、森口容疑者は部下から不正の報告を受けていたが黙認。23年2月に東大阪市側からオペレーターの稼働状況などの確認を求められた際、再委託先に勤務実績を改ざんするよう指示していました。府警は経緯を調べるとともに、ほかの自治体で発覚した不正についても捜査します。

 警察は1日、近ツリの大阪市と静岡市にある支店を家宅捜索していました。
 近ツリは今年3月までの3年間で全国の自治体に対し、最大14億7000万円あまりを過大請求していたことが社内調査で判明していて、警察は余罪を含め捜査しています。
(以上、令和5年6月1日~6月15日。日本経済、読売、産経、毎日新聞など参照)

 近ツリの髙浦雅彦社長は記者会見で不正に至った理由を2つ挙げました。
 まず、自治体との契約に関する知識不足。次に挙げられたのが、「営業目標達成意識」です。
 どんな言い訳をしても、やってはいけないことの判断ができなかったのでしょうか。

 今回の不正を受けて、学校側が修学旅行などを敬遠し、JTBなど競合に顧客が流れる可能性もあり、近ツリが大きな代償を払っていくのはこれからで、不正の代償は大きいものとなるのでしょう。

一番被害を被っているのは、市民・国民で、コロナビジネスは元をたどれば税金です。
 市民・国民の税金をごまかすのは、泥棒です。やめてね

5.令和4年分の査察の概要を公表!

 告発率74.1%は平成18年度以来の高水準

 国税庁は6月14日、令和4年度の査察の概要を公表しました。
 査察の着手件数は145件(前年度116件)で、事案の処理件数は139件(同103件)でした。新型コロナウイルスの影響を強く受けた前年度と比べて告発件数及び脱税総額が'大幅に増え、告発率は74.1%(同72.8%)と平成18年度(75.1%)以来の高水準となりました。

 処理件数139件(前年度103件)の脱税額は127億6,000万円(同102億1,200万円)でした。このうち告発件数103件(同75件)の脱税総額は100憶1,900万円(同60億7,400万円)で、1件当たりの脱税額は9,700万円(同8,100万円)となりました。
 重点事案では、消費税事案34件、無申告事案15件、国際事案25件を告発。消費税事案のうち消費税不正受還付事案は16件で、未遂の還付額を含めた不正受還付額は13億4,700万円(同4億3,400万円)とコロナ禍を含む令和元年度から約4倍に増加し、集計開始以後最多だった平成30年度の19 億900万円に次ぐ額となりました。

 令和4年度中における一審判決は61件で(すべて有罪判決)、そのうち3人に実刑判決が出された。最も重い実刑判決は査察事件単独に係るもので懲役1年4月他の犯罪との併合で懲役2年8月でした

 また告発が多かった上位4業種は、建設業(22者)、不動産業(13者)、小売業(12者)、人材派遣(5者)で、このうち建設業と不動産業は平成27年から8年連続で上位2業種を占めています。

 (週間税務通信、税のしるべ、国税庁メールマガジン6月19日参照)

 興味のある方は、こちらをご覧下さい。

 令和5年6月14日令和4年度査察の概要
 https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/sasatsu/r04_sasatsu.pdf
 https://www.nta.go.jp/about/organization/osaka/release/hodo/r04/sasatsu/index.htm

 パンフレット「国税査察制度~脱税は、犯罪。~」(令和5年6月)
 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/01.pdf

 告発業種の8年連続上位独占、建設業と不動産業の役員・従業員の皆様はどう感じられましたでしょうか。

 穴があったら入りたい心境でしょうか・・・・、それとも隙あらばでしょうか・・・・

 いずれにしても、税金泥棒にならないように・・・・日本国民としての会費を払ってね

2023年 7月号

今月のことば

機会が人を見捨てるよりも、人が機会を見捨てる方が多い

(フランスの諺)

「事務所通信7月号」

経営黒字経営への道しるべ(第1回)
「社長の成績表」変動損益計算書を見てみよう!
消費税インボイス制度3か月前対策自社のインボイスは要件を満たしていますか
事業承継令和6年3月31日まで「特例承継計画」提出の検討を!
コラム「口」の環境改善が「体」の健康を守る!?

7月の税務カレンダー

<納付期限>
7月10日(月)


  • 6月徴収分源泉所得税・特別徴収住民税の納付期限
  • 源泉所得税納期の特例分(1月から6月分)の納付期限
  • 所得税の予定納税額の納付(第1期分)
  • 固定資産税の第2期分の納付(納期限・・・7月中において市町村の条例で定める日)
<申告期限など>
7月31日(月)


  • 所得税の予定納税額の減額申請
  • 5月決算法人の確定申告期限
    (法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税)
  • R5年11月決算法人の予定(中間)申告期限
    (法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税)
  • 消費税・地方消費税の中間申告期限

事務所通信 6月号

事務所通信 6月号

29日、近畿地方の梅雨入り発表です。警報級の大雨も有るようで、ご注意ください。
5月の梅雨入りは10年ぶりで、去年より16日早い梅雨入りだそうです。

6月11日は、入梅。暦の上での梅雨入りです。「つゆ」の由来は、雨で草花の上に溜まる「露(つゆ)」から連想したという説や、梅の実が熟して潰れる時季なので「潰ゆ(つゆ)」と関連付けたという説など、諸説あります。
和歌山県みなベ町では、6月上旬に梅酒用の梅、6月中旬から7月中旬にかけては、梅干し用の完熟梅の収穫で、ネットの上に自然落下した実が、美味しい梅干しになるのだそうです。

さて、初めてヒロシマにそろったG7首脳。ウクライナのゼレンスキー大統領の訪日はとてもインパクトがあったと感じました。
そして、原爆資料館での一番印象に残ったメッセージは、「人々の恐怖と苦しみは、どんな言葉でも言い表せないが、心と魂を込めて言えるのは繰り返さないということだ」、英国のスナク首相の言葉(言霊)です。世界のリーダーの今後の行動を注視して行きたいものです。

お知らせです!

 インボイス導入まで、残り4ヶ月を切りました。
 インボイスは準備が100%です、難しくありません。
 余裕を持って、ご準備お願いします。

 自社のインボイス(適格請求書)は決まりましたか、巡回監査時に資料コピーをお願いします。
 また、すべての取引先の受取インボイスのチェックの進捗状況はどうでしょうか。
 こちらは、すべての取引先の数だけチェックが必要です。

 疑問点や質問など、何でもご相談ください。

1.会計で会社を強くする!

 会計で会社を強くするTKC会計人の視点から、「会計で会社を強くする-簿記・会計先覚者の金言集」の第6回目をお届けします。
 第1回は、20世紀を代表する経営学者「ドラッカー」の言葉、
 第2回目は、日本を代表する幕末明治の啓蒙思想家の「福澤諭吉」でした。
 第3回目は、世界最初に出版された複式簿記解説書の著者「ルカ・パチヨーリ」です。
 第4回目は、「だらしない記帳は、破産者の特徴である。」で有名なヴユルテンベルク王国の商法草案です。
 第5回目は、「複式簿記が商人にあたえてくれる利益は計り知れないほどだ。」ドイツの詩人、劇作家などで有名な、ゲーテです。
 第6回目は、「世界で初めての国家的商法典であるルイ14世商事王令の起草者サヴァリー」です。

 今回(7回目)は、「ドイツを代表する経営経済(会計)学者、レフソン」のお話です。

 年度決算書による時宜を得た商人の自己報告は、商人自身や債権者保護のために支払停止の回避を目的としている。
 レフソン
 ドイツを代表する経営経済(会計)学者
 レフソン『正規の簿記の諸原則』より

 法律家の文献(クルーゼのこと=坂本注)では、商事王令の記帳規範が、帳簿の証拠力の保証だけではなく商人に自己報告(Selbstinformation)を強制していることを必ずしも認めていないようである。債権者保護の形態はサヴァリーに見られるだけではなく、すでにパチヨーリの簿記論の第1章に見られる。誰にも報告することを義務づけられていない個人の商人に、いかなる理由に基づいて立法者は商事勅令から現行商法典239 条に至るまで、年度決算書の作成を規則として定めているのであろうか?期間計算を欠いた正規の簿記は、証明機能の充足のためにはそれで十分であろう。
 年度決算書による時宜を得た商人の自己報告は、商人自身や債権者保護のために支払停止の回避を目的としている。
 ※サヴァリーは6回目を、パチョーリは3回目参照してください。

 解説
 レフソンはドイツを代表する経営経済(会計)学者です。レフソンは、世界最初の国家的商法典であるフランス・ルイ14世商事王令の起草者であるサヴァリーや、世界で初めて複式簿記解説書を出版したルカ・パチョーリの見解を引き合いに出して、商法商業帳簿規定の本質的な目的が「経営者への自己報告による健全経営の遂行」にある、と主張しています。
クルーゼとの論争
 このレフソンの見解は、ドイツを代表する税法学者であるクルーゼの見解と真っ向から対立するものです。クルーゼはその著『正規の簿記の諸原則』(Grundsätze ordnungsmäßiger Buchführung)で、「商法典の簿記規定は商業帳簿の証拠力に照準を当てている。もっとも、商人はまず第一に自己報告のために(Zu seiner eigenen Unterrichtung)商業帳簿の具備をする、ということがしばしば言われる。経営経済学的な視点から見れば、この言葉は確かに正しい。しかし簿記規定のこのような目的に関しては、商法典からは何も読みとれない。すべての簿記規定は立証という目的に沿うものであり、事業報告という目的に沿うものではない。それらの規定は、ただ商業帳簿の証明機能を強くするだけである」として、レフソンの主張に反論し、商法商業帳簿規定の本質的な目的は「帳簿の証拠力の定立」にあると主張しています。
両説の検討
 とはいえ、レフソンも、「正規の簿記(ordnungsmäßige Buchführung)を通じた証拠力ある証明資料の保全は意義を失わない。帳簿は課税と事態の判定に関しての基礎となり、それは帳簿を通じ証明されねばならず、又証明され得る」、「帳簿の形式的な証拠力は、現代の法律においてはもはや与えられず、裁判官は提示された商人の商業帳簿あるいはその他の記録を民事訴訟法286条、415条ないし444条に準拠し、文書として自由に評価しなければならない」として「商業帳簿の証拠力」に言及しています。レフソンは、商業帳簿の証拠力を無視しているわけではありません。
 しかし、レフソンは「帳簿の形式的な証拠力は、現代の法律においてはもはや与えられず」として、商法商業帳簿規定における「証拠力の定立」機能を軽く扱い(?)、かつ、租税法における簿記の証拠力(国税通則法158条)の規定を完全に無視しています。
 税法学者のクルーゼがレフソンの見解に激怒(?)した理由はここにあったと思われます。このことは、クルーゼの「それは(商業会計制度に関する論究のこと==坂本注)、たいてい商法38条から44b条、47b条を巡るものであり、45条から47条までは商業帳簿の証拠力に関するものであるにも拘わらず一般に留意されていない。ライヒ国税通則法208条(現行国税通読法158条と同じ内容=坂本注)に類似する規定は、商業の会計制度に関する論究が多いにもかかわらず、見る影もないような存在である」という見解からも明らかでしよう。ドイツに限らず、会計学者が「簿記の証拠力」や「税法の規定」を無視する傾向は、わが国においてもみられます。

商法商業帳簿規定の本質的な目的
 両博士の論争を突き詰めれば、問題の所在は、商法の商業帳簿規定が商業帳簿の「証拠力の定立」のためだけに存在するのか、それとも、それに「経営者への自己報告」目的が加わるのかということにあります。この問題を解きほぐすためには、商法の商業帳簿規定生成の歴史を辿る必要があるでしよう。1673年フランス・ルイ14世商事王令、1839年ドイツ・ヴュルテンベルク王国の商法草案理由書、1848年ドイツ・連邦法務省商法草案理由書からも明らかなように、商法の商業帳簿規定の本質的な目的は2つあり、歴史的には「帳簿の証拠力の定立」に始まり、その後、「商人への自己報告による健全経営遂行」が加わっています。これら2つが商業帳簿規定の本質的な目的であり、それぞれが重要な機能を果たしています。
 ただし、クルーゼが言うように、「帳簿の証拠力の定立」は商法商業帳簿規定の重要な目的であるにもかかわらず、会計学が「帳簿の証拠力の定立」機能を軽視していることは、ゆゆしき問題といえます。

 ※ライヒ国税通則法208条、現行国税通則法158条は、「正規の簿記の証拠力」を規定しています。

(金言集は、TKC出版「会計で会社を強くする一簿記・会計先覚者の金言集・解説」坂本孝司著より引用)

 次回は、「江戸時代の大坂の浮世草子人形浄瑠璃作者、俳諧師、井原西鶴」のお話です。
ご期待ください。

2.令和5年分の路線価図等の閲覧について!

 相続税・贈与税の土地などの評価に用いる令和5年分の路線価図等の閲覧が、7月3日(月)11時から利用予定だそうです。
 インターネットでも、税務署のパソコンでも閲覧出来ます。

 ※路線価とは、主要道路に面した1平方メートル当たりの1月1日時点での評価額で、土地の相続や贈与を受けた人の税額を算出する基準となります。

 興味のある方は、こちらをご覧下さい。

 路線価図・評価倍率表ホームページ
 https://www.rosenka.nta.go.jp/
 令和5年分の路線価図等の公開予定日について
 https://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0023004-049.pdf

3.「相続土地国庫帰属制度」がスタート!

 相続土地国庫帰属制度が始まりました。
 一言で言えば、相続したが、管理出来ない土地を国が引き受けるという制度です。

 所有者不明土地の発生を予防する観点から相続によって取得した土地を手放して国庫に帰属させる制度です。
 「遠くに住んでいて利用する予定がない」「土地の管理の負担が大きい」などの理由で相続した土地の管理に困っている人は申請することができます。
 国が引き取ることができる土地には一定の要件10要件)があり、申請時に審査手数料の納付のほか、承認を受けた場合には、負担金(10年分の土地管理費相当額)の納付が必要となります。
 また、国庫帰属の申請をすれば、法務局が書面審査し、次に現地調査となります。
 半年から1年程度は掛かるようです。

 詳しくは、以下のホームページをご覧下さい
 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00454.html

 相続した土地を手放したいときの「相続土地国庫帰属制度」
 https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202303/2.html

 条件を満たせば国に譲れます。
 「一定の条件」とは、下記のような土地を言います。
 建物のある土地、担保権などが設定されている、他人の利用が予定されている、土壌汚染されている、境界が明らかでない・所有権の存否や範囲について争いがあるなどです。

4.税理士等・公認会計士に対する懲戒処分等について!

 税理士・税理士法人の、懲戒処分については、毎年公表されており、
 今年も、令和4年5月16日現在のものが、国税庁HPにアップされています。

「故意に不真正の財務書類を作成した場合(税理士法第45条第1項該当)と反職業倫理的な自己申告漏れをした場合(税理士法第37条違反該当)がほとんどです。

 分かりやすく言えば、前者は脱税相談、後者は自己脱税の事です。

参考までに・・・・
 「税理士法」では次のように定められています。

 (脱税相談等の禁止)
 第36条税理士は、不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき、指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為をしてはならない。

 恥ずかしい話ですが、経済的な判断を優先したのでしょうか?

 税理士は、やってはいけないこと(税理士法違反)をすれば、資格を剥奪されます。
 ご用だ!(検察庁に送られて、刑事罰が課される)、となる場合もあります。

 税理士の補助者(無資格の事務所職員など)も処分されますので、税理士を目指す方は、ぜひ知っておいて下さいネ。

 懲戒処分を受けた税理士は、氏名・住所などが、ネット上で公開されます。

 一生を棒に振ることになるのです・・・・。

 税理士、「あっ、なんか悪いことする人でしょ。」

 なんて言われないように、信頼される税理士でいたいし、
 そういう業界であって欲しいと願います。

 自分の子供にも、堂々と仕事の話がしたい・・・・ですよネ

 憲法30条(納税の義務)を受けて、税理士の「使命」を規定しているのが法1条です。
 昭和55年の改正において、職務上の責任である「職責」を「使命」と改正しました。

 詳しくは、下記HPをご覧ください。

 税理士・税理士法人に対する懲戒処分等
 https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/chokai/shobun/list.htm
 〈参考〉
 税理士・税理士法人に対する懲戒処分等件数
 https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/chokai/shobun/list.htm#name03

 一方、公認会計士の懲戒処分についてもお知らせします。

 ※.興味のある方は、下記HPをご覧下さい。

 金融庁
 公認会計士の懲戒処分について
 https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20220729.html
 https://www.fsa.go.jp/news/r3/sonota/20220630.html
 ※注公認会計士の個人名等については、処分期間経過後は削除だそうです。
 ということで、少し古いですが処分期間経過前のHPを検索しました。
 https://b2b-ch.infomart.co.jp/news/detail.page?IMNEWS1=3187604
 https://awesome-tax.com/archives/4397
 会員に対する懲戒処分について
 https://jicpa.or.jp/news/information/2022/20220331djv.html
 https://jicpa.or.jp/news/information/files/0-25-0-0y-20230519.pdf
 「公認会計士・監査法人に対する懲戒処分等の考え方(処分基準)について」
 https://www.fsa.go.jp/news/r4/sonota/20230125/06.pdf

 税理士‧税理士法人に対する懲戒処分件数は徐々に減少傾向にあります。
 少しは良い方向に向かっているのでしょう。

 税理士に対する懲戒処分は、税理士に限られ、廃業すれば調査や処分、氏名などの公表はされません。制度上、再び税理士に復帰することが可能なため、こうした廃業は「懲戒逃れ」として以前から問題視されています。

 令和4年度税制改正で、税理士に対する処分として「懲戒逃れ」は無くなり、氏名や不正内容をHPや官報で公表、復帰も制限・禁止、懲戒処分等の除斥期間の創設、違反に関する質問検査等の強化が導入されました。

 金融機関の税務相談などのやり過ぎも、これで少しはおとなしくなるのでしょうか。

 また、公認会計士については、
 懲戒処分の内容は、税理士法違反で、税理士業務の停止処分が多いようです。公認会計士法第26条に規定する信用失墜行為の禁止にも該当です。

 税理士、会計士以外では弁護士と社会保険労務士にも、違反事例が多いようです。

5.北朝鮮ハッキング、日本の暗号資産980億円被害!

 北朝鮮がハッキングで日本の暗号資産(仮想通貨)事業者を標的にしていることが、日本経済新聞と英エリプティック社の共同分析で判明しました。2017年以降の被害額は約980億円で、世界全体の3割を占めていました。

 北朝鮮系のハッカー集団「ラザルスグループ」の典型的な手口とされるのが、こうした「なりすましメール」です。
 心理的な隙につけ込んで情報を漏らすように仕向ける手法で「ソーシャルエンジニアリング」とも呼ばれます。
 もし社員が添付のリンクを開いていれば、そこを侵入口にして仮想通貨が窃取されていた恐れがあります。
 ビジネス向けSNS(交流サイト)などで大手企業の社員や求職者になりすまし、標的企業の社員にメールでマルウエア(悪意のあるプログラム)を送りつけて感染させて侵入します。
 日本のメガバンクやベンチャーキャピタルを模した偽のドメイン(インターネット上の住所)の作成が既に見つかっており、今後は国内の金融業界を狙った攻撃が続く可能性があるようです。
(以上、2023.5.16~17日、日本経済新聞など参照)

 「ラザルスグループ」とは、北朝鮮ハッカー集団の通称です。
 報告書によると、ベトナムが二番目に攻撃を受けた国で、5億4000万ドルの損失、アメリカが4億9700万ドルの損失で三番目で、香港が2億8100 万ドルの損失で四番目だったようです。
 被害の上位4か国のうち3か国がアジア諸国で、アジア全体の安全保障上の脅威になりつつあります。
 日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、日本から奪取した7億2100万ドルは北朝鮮の21年輸出額の8.8倍に当たる。
 外貨獲得のために他国の仮想通貨を狙い、ミサイル開発の原資にしているのでしょうか。

 興味のある方は、「北朝鮮ハッカーの実態描く」(ラザルス、ジェフ・ホワイト著)をご覧下さい。
 本書での指摘は、「自分の身を守るための主力兵器は知識」、

 そして「怪しげなメールが送られてきたら、《デリートキー》を押すだけでいい」と言い切っています。

 皆さん、《デリートキー》を押すだけですよ!

2023年 6月号

今月のことば

怖くても冒険心を持とう

伊藤雅俊(イトーヨーカ堂創業者)

「事務所通信6月号」

経営信頼される会社へ
会社と経営者の資産をしっかり分けよう
会計月次決算データは宝の山経営に活用しよう
税務生前贈与には注意!相続財産への加算期間が延長
トピック「心理的安全性」を高めて従業員の力を引き出そう

6月の税務カレンダー

<納付期限>
6月12日(月)


  • 5月徴収分源泉所得税
  • 特別徴収住民税の納付期限
<申告期限など>
6月30日(金)


  • 4月決算法人の確定申告期限
    (法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税)
  • 令和4年10月決算法人の予定(中間)申告期限
    (法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税)
  • 消費税・地方消費税の中間申告期限

事務所通信 5月号

事務所通信 5月号

約3年にわたって続いた「新型コロナウイルス」の感染症法での位置づけが変わります。
社会・経済が正常化に動き出す一方、コロナ後の新状態を探る動きもあります。

また、この3年間の感染症の怖さは人類(自分自身)にとっても色々考えさせられる期間でした。
この経験はみんなの記憶に残りますが、明るい楽しい気持ちにチェンジしましょう。
また、教訓を次に活かしてほしいものです。

さて、桜が終わり、つつじの花が目をなごませてくれている今日この頃です。
「新たな日常」の中にも、自然は変わらず季節感を感じさせてくれる日常が有ります。

季節感を忘れず、自然体で新たな日々を暮らしていきたいと思っています・・・・。

お知らせです!

 「クールビズ」実施に関するご案内
 今年も、国・税理士会などの施策に合わせ「クールビズ」を5月1日(月)から実施いたしたくご案内申し上げます。
 事務所内では、軽装(ノーネクタイ・ノージャケット等)になりますが、よろしくお願い致します。

1.会計で会社を強くする!

 会計で会社を強くするTKC会計人の視点から、「会計で会社を強くする-簿記・会計先覚者の金言集」の第6回目をお届けします。
 第1回は、20世紀を代表する経営学者「ドラッカー」の言葉、
 第2回目は、日本を代表する幕末明治の啓蒙思想家の「福澤諭吉」でした。
 第3回目は、世界最初に出版された複式簿記解説書の著者「ルカ・パチヨーリ」です。
 第4回目は、「だらしない記帳は、破産者の特徴である。」で有名なヴユルテンベルク王国の商法草案です。
 第5回目は、「複式簿記が商人にあたえてくれる利益は計り知れないほどだ。」ドイツの詩人、劇作家などで有名な、ゲーテです。

 今回(6回目)は、「世界で初めての国家的商法典であるルイ14世商事王令の起草者サヴァリー」のお話です。

 商人が帳簿を備えることは、商人の事業をよく遂行していくために有利なことである。
 サヴァリー
 世界で初めての国家的商法典であるルイ14世商事王令の起草者

サヴァリー『完全な商人』より
 商人が帳簿を備えることは、公共の利益のために重要であるのみならず、それは商人にとってもまた自分の事業において、それをよく遂行していくために有利なことである*1。
 資産、負債について作成する財産目録によって、自己の営業状況が芳しくない事を知るに至った人たちは、そのような状況を知らない場合に比して、はるかに容易に対応策をとりうることもまた本当である。
 *1岸悦三(1988)会計生成史196頁。

 解説
 国家的規模の商法が最初に法典化されたのは1673年の「ルイ14世商事王令」です。ルイ14世は「太陽王」(Roi-Soleil)ともいわれます。当時のフランスは、産業も不振で、加えて破産、とりわけ詐欺破産、財産隠匿といった不正が横行していたので、法律をもって信用制度を回復し、民力を強化することが急務とされていました。そこで、財政の立て直しを図ったのがコルベールです。彼の財政政策を「コルベール主義」といい、「重商主義」の典型とされました。
 コルベールは商法整備にも着手しました。この法典の整備に参加したのが商業に精通するジャック・サヴァリーであり、その実績から同法典は「サヴァリー法典」と呼ばれます。

 「商事王令」の内容 一破産時に「正規の帳簿」が提示できなければ死刑
 サヴァリー法典が会計史上画期的なものとして扱われるのは、商業帳簿及び財産目録の規定が、近代国家の法令のなかに置かれたことにあります。
 同法典の記帳義務は任意規定ではありません。破産時に「正規の帳簿」を提示できない者は破産を宣告されるばかりでなく、詐欺破産者とみなされ(第11章「破産及び破産犯罪」11条)、死刑に処せられる(同章12条)、という厳しいものでした。つまり、死刑を担保にして、商人に「正規の帳簿」の備え付けを間接的に義務づけていたのです。

商業帳簿の本質的な目的を論じたサヴァリー
 商法の商業帳簿規定の本質的な目的が、「帳簿の証拠力の定立」と「商人への自己報告による健全経営の遂行」の2点にあることが理解されます。
 サヴァリー法典は、その後1807年にナポレオン法典に引き継がれ(死刑の条項は同法典では削除)、ヨーロッパ諸国の商法制定の模範とされ、やがて日本の商法にも影響を与えています。サヴァリーは、商法の祖と呼ばれ、同法典は、商法の基礎となったばかりでなく、その後「静態論」と呼ばれる会計思考の基礎となりました。

決算書の報告先は経営者自身(自己報告)
 決算書の本質的な報告先は、投資家や株主などの利害関係者ではなく、経営者自身(自己報告)です。
 商法典は、利害関係者がいない事業者にも決算書作成義務を課しています。その理由は、経営者への自己報告にこそ簿記会計の本質的な目的があるからです。

(金言集は、TKC出版「会計で会社を強くする一簿記・会計先覚者の金言集・解説」坂本孝司著より引用)

 決算書の報告先は、まず経営者自身(自己報告)です、次に税務署や金融機関への報告は、義務として必要です。

次回は、「ドイツを代表する経営経済(会計)学者、レフソン」のお話です。
ご期待ください。

2.経済同友会代表幹事に新浪氏が就任!

 経済同友会は4月27日、任期を終える櫻田代表幹事の後任として新浪剛史氏を選任しました。

 新しい代表幹事にサントリーホールディングスの社長を務める新浪剛史氏が就任し、日本経済の活性化や社会課題の解決に向け民間企業の活力が欠かせないという考えを強調しました。

 総会で新浪氏は「激動の今こそ、変化するこのタイミングこそ、またとない好機だ。企業が旺盛に投資をして新たな価値を生み出す一方で、働く人たちの賃金を継続的に上げていく。その活力をもとに企業は再投資をしていく。民間主導で経済を活性化させるとともに、民間に活力があれば社会課題も解決できる」と抱負を述べました。

新浪氏“多様性はイノベイティブの大きな基盤”
 27日経済同友会の新しい代表幹事に就任した新浪剛史氏は、LGBTの人たちへの理解を増進するための議員立法をめぐり日本の対応が遅れていると指摘されていることについて、「多様性を認めることは企業、そして日本がイノベイティブになっていく大きな基盤だ。海外では日本は多様化に遅れているというイメージがあるが、こうしたイメージを国会の皆さんにもご理解いただきたい」と指摘しました。
新浪氏“国民に新たな負担求めるのは時期尚早“
 一方、政府が目指す少子化対策の実現に向けて、財源をどう確保するのかが課題となっていることについて、新浪代表幹事は「政府が、今のお金の使い方が本当に正しいのかを可視化する前に、国民に新たな負担を求めるのは時期尚早だ。せっかく賃金を上げようという勢いになっているので、それに水をかけないような議論が必要だ」と述べました。
(以上、2023.4.27~28日、日経、毎日、読売・産経新聞など参照)

経済同友会とは
公益社団法人経済同友会は、終戦直後の1946年、日本経済の堅実な再建のため、当時の新進気鋭の中堅企業人有志83名が結集して誕生しました。以来、一貫してより良い経済社会の実現や国民生活を充実させるための諸課題に率先して取り組んでまいりました。
 企業経営者が個人として参加し、自由社会における経済社会の牽引役であるという自覚と連帯の下に、一企業や特定業種の利害を超えた幅広い先見的な視野から、変転きわまりない国内外の諸問題について考え、議論し政策提言を行うところが、経済同友会最大の特色です。

詳しくは、下記HPをご覧ください。

経済同友会
https://www.doyukai.or.jp/
新浪剛史代表幹事就任挨拶
https://www.doyukai.or.jp/chairmansmsg/statement/2023/230427a.html

 企業経営者が個人として参加し、自由社会の牽引役であり、一企業や特定業種の利害を超えた幅広い先見的な視野から国内外の諸問題について考え、政策提言を行うところが、経済同友会最大の特色です。
 前任の櫻田代表幹事から新浪剛史氏への交代、
仲間たちとともに、まさに脳漿をしぼるようにこの大役にチャレンジしていきたい

提言と行動、期待しています。頑張ってください。

3.特集狙われる高齢者!

 今月は、「週間東洋経済」の4月8日号の特集狙われる高齢者をご紹介します。

 最近、特殊詐欺のニュースも多かったので、タイトルに惹かれて読みました。

 特殊詐欺最前線では、想像を超える巧妙さに喰われる高齢者では、詐欺に遭いやすいのは高齢の女性で、主な特殊詐欺の手口と被害者の高齢者割合が掲載されています。

 また、孤独や老後の不安につけ込む高齢者を襲う身近な悪徳商法では高齢者に多い消費トラブル例、高齢者を狙い撃ちした「仕組み債」、また高齢者の財産を守るはずの制度が悪用されている「成年後見人」の闇、そして詐欺師に名簿やアジトを供給する人々の情報が掲載されています。
 そして、加害者たちの実像、特殊詐欺グループの特徴である役割分担なども書かれています。
 また、詐欺・悪徳商法から「家族を守る10箇条」など、新聞やニュースなどでは分からない情報が掲載されています。

 一度読まれてはいかがでしょうか。
 詳しくは「週間東洋経済」の4月8日号ご覧ください。

 名簿業者や探偵社は昔からありましたが、金儲けとはいえ彼らが特殊詐欺の詐欺師に情報を流しているような弱肉強食の現状はここまでひどいとは思いませんでした。

 「敵を知り己を知る」ことが必要です。
 高齢者の親・家族を守るためにも、一読の価値ありと思います。

4.退職所得課税改正か?!

 4月12日、「新しい資本主義」実現会議(議長・岸田文雄首相)が開かれ、6月までにまとめる労働市場改革の具体策について本格的に議論を始めました。

 岸田首相が掲げる「新しい資本主義」の実現には、労働市場改革が不可欠だとして、労働力の成長分野への移動を促し、年功序列や終身雇用を前提とした、日本型雇用慣行の改革に取り組みます。

 また、在職者の学び直し(リスキリング)は現在、企業経由の給付が75%で個人給付は25%だが、これを個人主体に見直し、5年以内をめどに、個人への直接給付が50%を超えるようあらためます。

 同じ観点から退職所得課税では、長期勤続者に対する優遇措置の縮小を検討します。現行の退職所得課税制度では、勤続20年を超えると、所得計算時の控除額が1年あたり40万円から70万円に増え、税負担が軽くなります。労働移動の円滑化を阻害している要因のひとつと指摘されており、2024年度以降の税制改正で見直しを議論します
(以上、2023.4.13~23日、日経、毎日、読売、産経新聞、税のしるべ4.24など参照)

 詳しくは、下記HPをご覧ください。

 新しい資本主義実現本部/新しい資本主義実現会議
 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/index.html

 退職金税制については、過去2019年頃より「働き方による差を是正」する観点から、働き方や勤めた年数で税負担に差が出る所得税のしくみを改める考えが示されています。
 2020年の税制改正でも、抜本改正は見送りされました。
 昨年度の「政府税調」でも、多様な働き方を選びやすくする税制のあり方を議論しています。
 与党の税制改正の「検討課題」でも度々出ています。
 非常に多くの人に影響を及ぼします、バランスをどうとるのでしょうか・・・・。目が離せませんね。

 これで来年度の税制改正での退職所得見直しは確実でしょうか?

5.国税庁「調査課所管法人における申告内容の誤りが多い事例」を公表!

 令和5年4月11日(火)、国税庁ホームページで「調査課所管法人における申告内容の誤りが多い事例を掲載しました」が公表されました。

 公表された「調査課所管法人における申告内容の誤りが多い事例」は2ページのリーフレットで、その内容(主な見出し)は次のとおりです。

  • 外国税額の控除等に関する誤り(別表6(2)等)
  • 法人税額及び地方法人税額の計算に関する誤り(別表1・同次葉)
  • 所得金額の計算・利益積立金額等の計算に関する誤り(別表4・別表5(1))
  • 受取配当等の益金不算入に関する誤り(別表8(1)・同付表1)
  • 租税公課の納付状況等に関する誤り(別表5(2))
  • 役員給与等に関する誤り(役員給与等の内訳書)
  • 減価償却資産の償却額の計算に関する誤り(別表16(1)等)
  • 特定同族会社の留保金額に対する税額の計算に関する誤り(別表3(1))
  • その他の法人税額の特別控除に関する誤り(別表6(10)等)
  • 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除に関する誤り(別表6(9)等)

 「調査課所管法人」とは、原則資本金1億円以上の法人をいい、管轄は税務署ではなく、国税局です(調査査察部等の所掌事務の範囲を定める省令)。

 ※.興味のある方は、下記HPをご覧下さい。
 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/hojin/sanko/ayamari.htm
 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/hojin/sanko/pdf/0023003-129.pdf

 実際に臨場しての「実地調査」以外で、これだけの誤りが多いとは、私も初めて知り驚きました。
集計対象の350法人中6割です。

 資本金が1億円以上の法人で、税務署ではなく国税局が担当となる大法人なので、人材も十分、関与する税理士・公認会計士も一流だと思っていました。
 「実地調査」を行えば、どうなるのでしょう・・・・。

2023年 5月号

今月のことば

販売とは、買わないという心を、買うという心に変化させること

米山稔(ヨネックス創業者)

「事務所通信5月号」

経営販売目標の設定は「損益分岐点」がカギ!
法務相続による不動産の登記を忘れずに!
消費税ここが知りたいインボイス⑥
値引き・返品時には返還インボイスが必要?
トピックゼロゼロ融資等の返済負担を軽減する「コロナ借換保証」とは?

5月の税務カレンダー

<納付期限>
5月10日(水)


  • 4月徴収分源泉所得税・特別徴収住民税の納付期限
5月31日(水)
  • 自動車税の納付
    (納期限・・・5月中において市町村の条例で定める日)
  • 確定申告所得税額の延納分の納付
<申告期限など>
5月31日(水)


  • 3月決算法人の確定申告期限
    (法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税)
  • 令和4年9月決算法人の予定(中間)申告期限
    (法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税)
  • 消費税・地方消費税の中間申告期限
  • 土地保有に係る特別土地保有税の申告及び納付
  • 個人住民税の特別徴収税額の通知

事務所通信 4月号

事務所通信 4月号

 らしい暖かい季節となって来ましたが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか?

 大阪管区気象台は、3月19日大阪市でソメイヨシノの開花が確認されたと発表しました。
 平年より8日早く、昨年より4日早く、1953年の統計開始以降、2021年と並んで、最も早くなりました。

 さて、過去3年間の「コロナ禍」を経て、マスク着用について3月13日から、個人の判断に委ねることを基本とする、考え方の見直しが国より示されました。
 皆様はどうされていますでしょうか。

 当事務所では、来客時のみ着用を義務付けています。…が全員勤務中はまだマスクを着用しています。
 しばらくは様子見のようです。

 では、4月号スタートです。

お知らせです!

 インボイス導入まで、半年を切りました。
 インボイスは準備が100%です、難しくありません。
 余裕を持って、ご準備お願いします。
 
 確定申告の方も、おかげさまで無事に終わりました。
 皆様のご協力に感謝申し上げます。

1.会計で会社を強くする!

 会計で会社を強くするTKC会計人の視点から、「会計で会社を強くする-簿記・会計先覚者の金言集」の第4回目ををお届けします。
 第1回は、20世紀を代表する経営学者「ドラッカー」の言葉、
 第2回目は、日本を代表する幕末明治の啓蒙思想家の「福澤諭吉」でした。
 第3回目は、世界最初に出版された複式簿記解説書の著者「ルカ・パチヨーリ」です。
 第4回目は、「だらしない記帳は、破産者の特徴である。」で有名なヴユルテンベルク王国の商法草案です。

 今回(5回目)は、「複式簿記が商人にあたえてくれる利益は計り知れないほどだ。」ドイツの詩人、劇作家などで有名な、ゲーテです。

 ゲーテ
 ドイツの詩人、劇作家、小説家、自然科学者、政治家、法律家

 ゲーテ『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』”より
 ヴェルナー
 あの頃は商売ってものがまるでわかっていなかったんだ。真の商人の精神(Geist)ほど広い精神、広くなくてはならない精神を、ぼくはほかに知らないね。商売をやってゆくのに、広い視野(Uberblick)をあたえてくれるのは、複式簿記による整理(Ordnung)だ。整理されていればいつでも全体が見渡される。細かしいことでまごまごする必要がなくなる。複式簿記が商人にあたえてくれる利益は計り知れないほどだ(Welche Vorteile gewährt die doppelteBuchhaltung dem Kaufmanne !)。人間の精神が産んだ最高の発明の1つだね(Es ist eine der schönsten Erfindungen desmenschlichen Geistes)。立派な経営者は誰でも、経営に複式簿記を取り入れるべきなんだ」。
*1 Goethe(2009):S.38ff.山崎(2000)54-56頁。

 解説
 『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代』は、ヴィルヘルム・マイスターの人間形成、発展を描くいわゆる教養小説(Bildungsroman)であり、その文章、手法、構成のすべてにわたって、きわめて完成度の高いものであるといわれています*1。同書が発刊された1796年は、1794年プロシアー般国法制定直後であり、その当時、帳簿を付けるかどうかは、商人の自由に任されていました(ドイツにおいて商人一般に記帳が義務づけられたのは、1861年一般ドイツ商法典の制定から)。また、当時のドイツにおける主要な帳簿は債権債務帳で、複式簿記は普及していませんでした*2。
 前出の「やりとり」は、友人ヴェルナーのアドバイスによって、(ゲーテの分身である)ヴィルヘルムの「事業経営」・「複式簿記」に関する誤った理解が浮き彫りになる、という一幕です。

 (金言集は、TKC出版「会計で会社を強くする一簿記・会計先覚者の金言集・解説」坂本孝司著より引用)

 次回は、「世界で初めての国家的商法典であるルイ14世商事王令の起草者サヴァリー」のお話です。
 ご期待ください。

2.114兆円、過去最大予算案成立!

 2023(令和5)年度予算は3月28日午後の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立しました。
 国会で成立した新年度・令和5年度予算は、防衛費の大幅な増額などで一般会計の総額が初めて110兆円を超え、過去最大の114兆3812億円となっています。

 主な歳出では
 防衛力の抜本的な強化のため「防衛費」が6兆7880億円と今年度を1兆4192億円上回って過去最大となったことに加えて、これとは別に将来の防衛力強化にあてる「防衛力強化資金」に3兆3806億円を計上しました。
 歳出の3分の1近くを占める「社会保障費」は高齢化などに伴って今年度より6154億円増えて過去最大の36兆8889億円。地方自治体に配付する「地方交付税交付金」は、今年度より5166億円増えて16兆3992億円となっています。
 また、過去に発行した国債の償還や利払いにあてる「国債費」は、9111億円増えて25兆2503億円となりました。
国債の発行残高の増加に伴ってこちらも過去最大です。
 さらに、通常の予備費5000億円とは別に、新型コロナや物価高騰対策などに備えるため5兆円の予備費を計上しています。
 歳入では、
 税収が69兆4400億円と今年度の当初予算よりも4兆2050億円増えると見込んでいます。新型コロナで落ち込んだ企業の業績が回復傾向にあり、法人税の増収を見込んでいることなどが要因です。
 また、9兆3182億円の税外収入を見込んでいるものの、それでも不足する35兆6230億円を新たな国債発行で賄います。
 新規の国債の発行額は今年度の当初予算よりも1兆3030億円減りましたが、歳入全体に占める国債の割合は31.1%と依然として国債頼みの状況が続いています。国債の発行残高は、新年度末には1068兆円となる見通しで、政府は、引き続き財政再建への取り組みが求められることとなります。
 (以上、2023.3.28~29日、日経、毎日、読売・産経新聞など参照)

 予算案の詳細は、下記HPをご覧ください
 令和5年度一般会計予算
 https://www.bb.mof.go.jp/server/2023/dlpdf/DL202311001.pdf
 令和5年度予算政府案
 https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/seifuan2023/index.html

 今年度の予算案の特徴は、政府の防衛力強化方針を踏まえ、防衛費の拡大、そして、急速に進む高齢化に対応するための社会保障費の増加で、いずれも過去最大となりました。

 また、統一地方選挙直前ということもあるのでしょうか。少子化対策などの看板政策に必要以上の予算をつけたバラマキ、財源についても、安易に何かあれば増税や借金(新規国債)で歳入不足を穴埋めする依存体質が続いています。
 やはり、コツコツと地道に行財政改革を積み重ね、財源の確保に向けて知恵を絞り汗をかいてほしいものです。

 後半国会では、物価高騰対策のほか、少子化対策の具体策や財源などをめぐって、与野党の論戦が行われる見通しです。また、防衛費の増額に向け「防衛力強化資金」を創設するための法案などの審議も焦点となります。

3.令和5年度税制改正法が年度内に成立です!

 3月28日、令和5年度予算とともに、税制改正法案も成立しました。
 令和5年度「税制改正法」は、
  1.個人投資家を対象にした優遇税制「NISA」の拡充
  2.相続・贈与税に関わるルール変更
  3.ことし10月から始まる消費税の「インボイス」制度の軽減措置の導入など

 特に、「インボイス」制度については、小規模事業者の負担を減らすため、年間の売り上げが1000万円以下の事業者(免税事業者)が「課税事業者」になった場合、仕入れなどで払った消費税がいくらであろうと、売り上げにかかる消費税のうち、一律で2割だけ納めればよいという軽減措置の導入や中小企業を対象に1万円未満の少額取引では、インボイスがなくても仕入れ税額控除を認める措置が導入されます。
 また、相続・贈与税については、過度の節税や「駆け込み節税」を抑えるのが目的で、暦年課税が増税、相続時精算課税制度が減税されています。

 詳しくは、下記HPをご覧ください。

 「所得税法等の一部を改正する法律案」について
 https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/211diet/st050203g.htm
 パンフレット「令和5年度税制改正(案)のポイント」
 https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeiseian23.html

4.公示地価2年連続で上昇、地方圏も2年ぶりに上昇!

 国土交通省は22日、2023年の公示地価(1月1日時点)を公表しました。
 商業・工業・住宅の全用途の全国平均は前年比1.6%の上昇で、上昇は
2年連続で、リーマン・ショック前の08年(1.7%)に次ぐ水準となりました。
 住宅地、商業地もそれぞれ上昇し、上昇幅が拡大した。地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)を除く地方圏の住宅地平均はプラス0.4%で1995年以来28年ぶりに上昇に転じました。
 新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ経済活動が回復し、訪日外国人客の増加などで、東京や大阪などの主要都市だけでなく、地方でも上昇が広がる結果となりました。
 住宅地は東京、大阪、名古屋の3大都市圏が昨年の0.5%から1.7%と上昇率が拡大しました。地方では札幌、仙台、広島、福岡の4市が住環境や利便性の良さで人気が根強く、8.6%と10年連続の上昇となりました。全国平均は1.4%でした。

 関西2府4県では、新型コロナ関連の行動制限の緩和などを背景に「商業地」は大阪をはじめ、3年ぶりに上昇に転じるところが目立ちました。
 一方、「住宅地」も兵庫が15年ぶりに上昇に転じるなど都市部の地価上昇が周辺にも波及しています。
 大阪では「商業地」の地価が3年ぶりに上昇しました。
大阪駅北側の「うめきたエリア」での再開発への期待から周辺で地価が上昇したほか、コロナ禍で下落が続いていたミナミの繁華街でも地価が上昇に転じる地点が相次いだためです。

 公示地価とは、企業や個人の土地取引、公共事業用地の取得に関する価格の目安となる土地の価格。国土交通省が全国で2万6000地点の1月1日時点の1平方メートルあたりの価格についてまとめ、毎年3月に公表している。地価公示法に基づく調査で「住宅地」「商業地」「工業地」といった土地の用途別に分類して示すことになっている。
 調査は建物の価値などを含まず、土地を更地として扱い、全国の鑑定評価員(不動産鑑定士)が選定と評価を実施する。
 主な地価の指標には公示地価のほか、国税庁が毎年夏に公表する路線価(1月1日時点)、都道府県の調査をもとに国交省が9月にまとめる基準地価(7月1日時点)がある。路線価は主要な道路に面する32万強の地点が対象で、相続税や贈与税の算定に使われる。
 (以上、2023.3.22~23日、日経、毎日、読売・産経新聞など参照)

 詳しくは、下記HPをご覧ください。
 全国の地価動向は全用途平均で2年連続上昇
 ~令和5年地価公示~
 https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo04_hh_000001_00029.html
 報道発表資料
 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001593671.pdf

 2年連続の上昇となったのは、経済活動がコロナ禍前に近い状況に戻りつつあることが理由ではないでしょうか。
 また、人出が戻ってきたこともあり、今後飲食や旅行需要も増えると考えます。
 ただ、地価の見通しは金利の動向にも左右されますので、金融政策がどうなるのかによって今後の地価も影響を受けるとみられます。

5.一度、行ってみませんか?!

 4月は「固定資産課税台帳の縦覧期間」です。

 固定資産税の縦覧制度とは、納税者が自己の所有する土地・家屋の評価額が適正かどうかを、縦覧帳簿に記載されている他人の土地・家屋の評価額と比較できる制度です。

 大阪市の場合、今年の縦覧期間は、4月3日(月)から5月1日(月)まで(土曜日・日曜日・祝日を除く)午前9時から午後5時30分(金曜日は午後7時)までです。

 縦覧には土地・家屋の所有者であることの確認のため、本人確認ができるもの(運転免許証など)または市税事務所から送付する納税通知書が必要です(代理人の場合は委任状が必要です)。
 縦覧場所は、所有している土地・家屋の所在する区を担当する市税事務所の固定資産税(土地・家屋)係です。
 市役所・区役所・区役所出張所・船場法人市税事務所では縦覧できません。

 また、所有している土地・家屋・償却資産や賃借等している土地・家屋の価格や税額を調べるため、固定資産課税台帳の閲覧ができます。

 ※.興味のある方は、下記HPをご覧下さい。
  令和5年度の固定資産税(土地・家屋)に関する縦覧は市税事務所へ
  https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000425551.html

 固定資産税は税収の4割を占めるほど重要な税です。
 しかし、制度が複雑すぎて、自治体の職員ですら間違えるためミスも多いのです。
 ミスの原因の、1つ目はマンパワー不足があります。現地調査やっている時間がないのでしょう。
 2つ目は、固定資産税評価基準の解説書は500ページ程度もあり、2~3年で異動がある職員では制度を理解するのが難しく、過去の例に従っているのでしょう。
 新聞や週刊誌でもたまに記事になっています。
 課税ミスがないか、一度チェックされるのもいいのではないでしょうか。

2023年 4月号

今月のことば

考えるだけでなく実行に移せ!

豊田英二(元トヨタ自動車会長)

「事務所通信4月号」

経営経理業務は進化しています!
~電子化・ペーパーレス化への取り組みを~
消費税ここが知りたいインボイス⑤
こんなとき仕入税額控除やインボイスの保存はどうする?
金融4月から経営者の個人保証の仕組みが変わります!
トピック令和5年4月1日から雇用保険料率が改定されます

4月の税務カレンダー

<納付期限>
4月10日(月)


  • 3月徴収分源泉所得税・特別徴収住民税の納付期限
5月1日(月)
  • 固定資産税(都市計画税)の第1期分の納付
    (納期限…4月中において市町村の条例で定める日)
    軽自動車税の納付
    (納期限…4月中において市町村の条例で定める日)
<申告期限など>
5月1日(月)


  • 2月決算法人の法人税等確定申告期限
  • 2月決算法人の消費税等確定申告期限
  • R5年8月決算法人の法人税等予定申告期限
  • 消費税・地方消費税の中間申告期限

事務所通信 3月号

事務所通信 3月号

 暖かくなったり、また寒くなったりと、一進一退の繰り返しですが、皆様お変わりなくお過ごしでしょうか。
 関西では奈良東大寺のお水取りの行事が終わらないとは来ないと言われます。
 奈良時代(752年)からの行事で、今年で1272回目です。3月1日に本行入りし15日が満行です。

 さて、3月6日は、二十四節気の「啓塾(けいちつ)」。の日差しで大地がぽかぽか暖まり、土の中で冬ごもりしていた虫たちが外に出て活動を始める時季、という意味です。

 もうがそこまで来ています…。
 確定申告の方も、おかげさまで順調に進んでいます。
 皆様のご協力に感謝申し上げます。

お知らせです!

 前回(2月号)、税制改正を含めた『電子取引・インボイス制度対応勉強会』多数のご参加のお礼の、お知らせをいたしましたが当日の写真をアップするのを忘れていました。
 3月号でアップさせて頂きます。
 ありがとうございました。

『電子取引・インボイス制度対応勉強会』
『電子取引・インボイス制度対応勉強会』
『電子取引・インボイス制度対応勉強会』
『電子取引・インボイス制度対応勉強会』

1.会計で会社を強くする!

 会計で会社を強くするTKC会計人の視点から、「会計で会社を強くする-簿記・会計先覚者の金言集」の第4回目ををお届けします。
 第1回は、20世紀を代表する経営学者「ドラッカー」の言葉、
 第2回目は、日本を代表する幕末明治の啓蒙思想家の「福澤諭吉」でした。
 第3回目は、世界最初に出版された複式簿記解説書の著者「ルカ・パチヨーリ」です。

 今回(4回目)は、だらしない記帳は、破産者の特徴である。」で有名なヴユルテンベルク王国の商法草案です。

 1839年ドイツ・ヴユルテンベルク王国の商法草案:理由書1

 商業帳簿は文書の側面があり、他の人々に対する証拠資料として用いられ得る。他の側面は、商人にその業務の状況に関する全容を提供する補助資料であることである。その帳簿はフランス商法典の理由書が述べるように、その正規な記帳が適時性(Pünktlichkeit)と正確性(Rechtlichkeit)を証言し、かつ、運命の神の変動に対する防御に役立つ。
 だらしない記帳は破産者の特徴である(Unregelmäßige Führung ist das Kennzeichen des Bankerottirers)。それが商業帳簿の重要性とその正規な備え付けの必然性の理由である。

 解説です、
 ヴユルテンベルク王国では、商法典の制定を目指して、1839年に草案を発表しました。同草案は、フランス商法も参考にし、その商業帳簿規定には、商人の記帳義務と決算義務が規定されています。世界で初めての国家的商法典である1673年フランス・ルイ14世商事王令の商業帳簿規定には、①自己報告による健全経営の遂行と、②証拠力の定立という2つの大きな目的がありました。同王令以後、大陸各国の商法典の商業帳簿規定は同王令や1807年フランス商法を踏襲して現在に至っています。ヴユルテンベルク王国の1839年商法草案もその一連の流れの中にあります。
 商業帳簿の自己報告による健全経営の遂行
「商人にその業務の状況に関する全容を提供する補助資料である」、「運命の神の変動に対する防御に役立つ」とは、まさに自己報告による健全経営の遂行を意味しています。
 極めつけは、「だらしない記帳は破産者の特徴である」との指摘です。これは現在でも、会計専門家である税理士や公認会計士、破産事案を取り扱う弁護士、中小企業金融の当事者である金融機関なら心底から納得できる経験則なのではないでしょうか。
 商法典の基本理念の一つに「債権者保護」がありますが、「債権者保護」とは、債権者(金融機関や信用取引の相手方など)に当初の約定どおりに支払を行うことを意味しています。倒産に陥って支払い不能状態に至れば、「債権者保護」にはなりません。
 つまり、健全な経営を遂行せしめること」「債権者保護」に結びつきます。

 (金言集は、TKC出版「会計で会社を強くする一簿記・会計先覚者の金言集・解説」坂本孝司著より引用)

 次回は、堅い話が続いていますので、「ドイツの詩人、劇作家などで有名な、ゲーテ」のお話です。
 ご期待ください。

2.2023年度予算案、衆議院通過、年度内成立が確定!

 2023年度予算案は28日の衆院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決し、衆院を通過しました。「憲法の衆院優越規定」に基づき、予算案は参院送付から30日で自然成立するため3月中の成立が確定した。
 3月1日からは参議院で審議が行われます。
 立憲民主党、日本維新の会など野党は反対しました。前年度予算案には賛成した国民民主党も賃上げ実現に不十分な内容だなどとして今回は反対にまわりました。維新など野党4党は本会議に先立つ衆院予算委員会で予算案の組み替え動議を個別に提出しましたが、否決されました。

 23年度予算案の一般会計総額は114兆3812億円で、11年連続で過去最大を更新。高齢化による社会保障費の増加に加え、政府の防衛力強化方針に沿って防衛費が前年度当初予算比26・4%増の約6兆7880億円計上され、総額を膨らませました。
 (以上、2023.2.28~3月1日、日経、毎日、読売・産経新聞など参照)

 「憲法の衆院優越規定」とは、
 法律案の議決(憲法第59条)
 予算案の議決(憲法第60条)。
 衆参で議決が異なる際に開く両院協議会で成案が得られない場合、又は衆議院議決案の受領後30日以内に参議院が議決しない場合、衆議院の議決が国会の議決となる。
 (以上、『ウィキペディア(Wikipedia)』より)

 予算案の詳細は、下記HPをご覧ください
 令和5年度予算の説明
 https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/sy050123.html
 第1総説
 https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/tousyoyosetsu2.pdf

3.今年度の「国民負担率」47.5%所得の半分近く占める!

 財務省は2月21日、国民負担率が、今年度(2022年度)は47.5%となる見込みだと発表しました。過去最大だった昨年度をやや下回ったものの、国民所得の半分近くを占めています。

 「国民負担率」は、個人や企業の所得などを合わせた国民全体の所得に占める税金や社会保険料の負担の割合で、公的負担の重さを国際的に比較する指標の一つです。

 財務省は21日、今年度の「国民負担率」は47.5%となる見込みだと発表しました。

 高齢化に伴って社会保険料の負担が増えた一方、企業の業績が回復したことや雇用者報酬が伸びたことから、過去最大だった昨年度より0.6ポイント下がりました。

 ただ、過去3番目の水準となっていて、国民所得の半分近くを占めています。

 また、新年度の「国民負担率」は所得の増加が見込まれるとして、今年度から0.7ポイント下がって46.8%となる見通しです。

 一方、国の財政赤字を加えた「潜在的な国民負担率」は、今年度は61.1%と去年11月に編成した大型の補正予算による歳出拡大が影響して、昨年度より3.7ポイント上がる見込みです。

 日本の「国民負担率」は、20年前の2002年度は35%でしたが、高齢化に伴う社会保険料の負担増加などで2013年度以降、40%を超えています。
 (以上、2023.2.22日、日経、毎日、産経新聞など参照)

 詳しくは、下記HPをご覧ください。

 令和5年度の国民負担率を公表します
 https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/futanritsu/20230221.html

 真の負担率は、財政赤字という形で将来世代へ先送りしている負担額を加える必要があります。
 財務省によると、令和5年度の国民所得(4年度に比べ11万5千円増の421万4千円の見通し)に対する財政赤字の割合は、前年度から6.5ポイント減の7.1%となる見通しです。この結果、5年度の国民負担率に財政赤字を加えた
潜在的な国民負担率は、4年度実績見込みからは7.2ポイント低下の53.9%となる見通しです。

 なお、租税負担率は、戦後は昭和20年代の混乱期を除いて20%前後で推移。しかし昭和50年台半ば以降、次第に上昇し始めその後はほぼ20%台前半から半ばで推移、令和3年度実績では過去最高の28.9%を記録、5年度は過去4番目に高い28.2%です。

 約半分の国民負担率、中学生の授業で覚えた江戸時代の「五公五民」を思い出しました。
 江戸時代と現在どちらが幸せかな…。
 岸田首相、国会議員の皆さん、歳費を含めた
「ご自身の潜在的負担率」一度考えてくださいね。

 負担率に関する資料
 https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/a04.htm
 「国民負担率(対国民所得比)の推移」について
 https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/a04.htm#a01

4.財務省、「令和5年度税制改正(案)のポイント」掲載!

 令和5年2月7日、財務省はパンフレット「令和5年度税制改正(案)のポイント」を掲載しました。

 岸田内閣での2度目となる税制改正で、家計の資産を貯蓄から投資へと積極的に振り向け、資産所得倍増につなげるため、NISAの抜本的拡充・恒久化を行うとともに、スタートアップ・エコシステムを抜本的に強化するための税制上の措置や、より公平で中立的な税制の実現に向け、極めて高い水準の所得について最低限の負担を求める措置の導入、そして資産移転の時期の選択により中立的な税制など。
 また、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置についての内容になっています。

 16ページの図解中心のパンフレットで、分かりやすいと思います。
 ぜひ、ご覧ください。

 詳しくは、下記HPをご覧ください。

 「令和5年度税制改正(案)のポイント」(令和5年2月)
 https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeiseian23.html

5.大阪市予算案、税収過去最高、コロナ対策維持に518億円!

 大阪市は2月14日、総額1兆9088億円の2023年度一般会計当初予算案を発表した。
 2022年度より669億円増え、3年連続の増加となりました。市税収は前年度比292億円(3・8%)増の7944億円を見込んでいます。1996年度の7776億円を超えて、過去最高になる見通しです。
 2年連続で補填財源として「財政調整基金」に依存せず、当初から収入と支出が釣り合う予算を組みます。

 23年4月に大阪・関西万博の開幕まで2年を切るのに伴い、予算案では準備を加速します。会場建設費の負担なども含めた万博関連の事業のうち大阪府の負担分などを除いて134億円を大阪市が負担します。
 一方、新型コロナウイルスの感染拡大防止では、ワクチン接種事業に83億円を計上したほか、コールセンターなど保健所体制の確保に136億円を盛り込みました。

 市が示した今後10年間の財政収支概算では、万博開催の経費を見込む24年度を除き29年度まで支出より収入が多い状態が続きます。市税収入の増加傾向が続くためですが、30年以降は税収の伸びが高齢化の進展に追いつかないことなどから収支の不足が生じる見通しです。
 (以上、2023.2.15日、日経、毎日、読売、産経新聞など参照)

 興味のある方は、下記HPをご覧下さい。
 令和5年度(2023年度)当初予算(案)令
 https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000591114.html
 財政収支の今後の見通し
 https://www.city.osaka.lg.jp/shisei/category/3060-3-2-6-0-0-0-0-0-0.html
 財政のあらまし
 https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000567/567740/R4.12aramashi.pdf

 財政調整基金とは、
 地方公共団体が年度間で生じる財源の不均衡を調整するために、積立てておく基金のことです。
 財政調整基金は、災害などの不測の事態に備え、財源に余裕がある年度に積み立てておくものとされています。
 一言で言えば、いざという事態に備えた「自治体の貯金」といえます。

 この貯金の差が新型コロナ対策において、休業補償の水準や範囲、支給のタイミング、検査実施件数の違いや検査に対する補助の有無などとなって表面化します。

2023年 3月号

今月のことば

目的には、理想が伴わねばならない

渋沢栄一(実業家)

「事務所通信3月号」

消費税ここが知りたいインボイス④
適格請求書発行事業者の登録申請の注意点
経営この費用、固定費?変動費?
~変動損益計算書の活用で儲けを見える化~
労務中小企業の60時間を超える残業の割増賃金が引き上げられます!
コラム大河の主人公!家康に学ぶ健康を保つ3つの知恵

3月の税務カレンダー

<納付期限>
3月10日(金)


  • 2月徴収分源泉所得税・特別徴収住民税の納付期限
3月15日(水)
  • R4年分所得税第3期分の納付期限
  • R4年分贈与税の納付期限
3月31日(金)
  • 個人事業者のR4年分消費税・地方消費税の納付期限
<申告期限など>
3月15日(水)


  • 個人の青色申告の承認申請申請期限
    (1月16日以降新規業務開始の場合は、その業務開始日から2ヶ月以内)
  • R4年分所得税確定申告・損失申告書提出期限
  • 贈与税の申告書提出期限
3月31日(金)
  • 個人事業者のR4年分消費税・地方消費税の確定申告期限
  • 1月決算法人の法人税等確定申告期限
  • 1月決算法人の消費税等確定申告期限
  • R5年7月決算法人の法人税等予定申告期限
  • 消費税・地方消費税の中間申告期限

事務所通信 2月号

事務所通信 2月号

「10年に一度」の大寒波との予想で、25日は車通勤か電車通勤かなと・・・・、
朝起きて判断しようと、
窓を開けて確認しましたが雪もなし、当然積雪もなしで拍子抜けです。
と、いうことでいつもどうり車出勤です。
大阪市内だけが、雪が積もってないというビックリ現象です!

さて、2月5日は、「初午(はつうま)」です。
「初午」とは、「2月の最初の午の日」のことで、今から約1300年ほど前、稲荷神社の総本宮、京都・伏見稲荷大社に稲荷大神が鎮座されたのが2月最初の午の日。この日をしのび、全国の稲荷神社で初午大祭が行われるようになりました。
また立春(2月4日)を迎える2月最初の午の日は、一年のうちで最も運気の高まる日とされることから、「初午」は「自分とっての大切な事」を考える良い日ではないでしようか。

お知らせです!

『電子取引・インボイス制度対応勉強会』!

多数のご参加ありがとうございました。

令和5年1月18日(水)午後2時から4時まで、港区民センターにて行いました。

 当日は、「電子取引・インボイス対応ワークブックVOL3.0」を配布し、最初からの復習と取引先からの受取請求書、領収書等への対応。残りの9か月でのやるべき事を確認しました。
又、電子インボイス、改正電子帳簿保存法への対応もお話しさせて頂きました。

 コロナ禍で、参加人数を絞っての開催でしたが、多数のご参加ありがとうございました。

 疑問点など、質問があれば、大野・担当者にお電話ください。
 巡回監査時での質問も大歓迎です。

1.会計で会社を強くする!

 会計で会社を強くするTKC会計人の視点から、「会計で会社を強くする-簿記・会計先覚者の金言集」の第3回目ををお届けします。
 第1回は、20世紀を代表する経営学者「ドラッカー」の言葉、
 第2回目は、日本を代表する幕末明治の啓蒙思想家の「福澤諭吉」でした。
 第3回目は、世界最初に出版された複式簿記解説書の著者「ルカ・パチヨーリ」です。

「すべての自らの取引を秩序正しく適切に処理する。」
 約500年前、世界最初に出版された、複式簿記解説書の著者、パチヨーリ『スムマ』2一より
 ベネチアは15世紀後半にはキリスト教世界でも屈指の海軍力をもつ都市国家でした。数学者であるルカ・パチョーリは、1494年に数学の著書『スムマ』を出版し、同書のなかで複式簿記の章を設けて、当時のベネチア商人が行っていた複式簿記の仕組みを学術的に体系化して記述しました。

 複式簿記と「自己報告による健全経営の遂行」
 パチョーリは、複式簿記の本質が「自己報告による健全経営の遂行」にあることを認識していました。それは、「商人の取引において、記録についての正しい秩序がなければ自らを統制することは、およそ不可能だからである。そして、彼らの心は、常に休まらず大なる苦悩の中におかれることになるからである」、「物事を適切に、その場で整理しなければ、すべての業務は最大の骨折りを要するばかりか混乱の中に陥る」、「秩序のない処では、すべては混乱に陥る」などの記述からも明らかでしよう。

 「適時の記帳」と「経営状況の適時の把握」
 パチョーリは、「物事を適切に、その場で整理」することを求めています。記帳の適時性です。そうしなければ「すべての業務は最大の骨折りを要するばかりか混乱の中に陥る」ことになり、「自らの統制」ができなくなるからです。「適時の記帳」を前提とした複式簿記によって、経営者は自らの「経営状況の適時な把握」が可能となります。
(金言集は、TKC 出版「会計で会社を強くする一簿記・会計先覚者の金言集・解説」坂本孝司著より引用)

 次回は、だらしない記帳は、破産者の特徴である。で有名なヴユルテンベルク王国の商法草案です。
 ご期待ください。

2.インボイス制度の改正内容、免税事業者への朗報!

今回は、令和5年度の税制改正のうち、消費税のインボイス制度の改正内容について、お知らせいたします。
主に以下の4点です。

1.2割特例-小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置(案)
2.少額特例-中小事業者の少額取引に係る事務負担の軽減措置(案)
3.返還インボイスの交付義務の見直し(案)
4.適格請求書発行事業者登録制度の見直し(案)

  1. は免税事業者からインボイス発行事業者になった場合の税負担・事務負担を軽減するため、売上税額の2割を納税額とすることができます。
  2. は、1万円未満の課税仕入れ(経費等)について、インボイスの保存がなくても帳簿の保存のみで仕入税額控除ができる。対象者は、2年前(基準期間)の課税売上が1億円以下または1年前の上半期(個人は1~6月)の課税売上が5千万円以下の方です。
  3. 1万円未満の値引きや返品等について、返還インボイスを交付する必要がなくなります。
    振込手数料分を値引処理する場合も対象です
  4. は登録申請は4月以降でも大丈夫です。

詳しくは、下記HPをご覧ください

インボイス制度の改正案について
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/invoice/index.html

3.防衛費の増額問題-予算案の実質審議に入りました!

 以下は、1月号の原稿です。
 3.来年度予算案、最大の114兆円決定国債依存なお3割超コロナ有事、脱却できず!
  政府は23日、一般会計の総額が114兆3812億円となる2023年度当初予算案を閣議決定しました。
 前年度から6兆7848億円(6.3%)増え、増加額は過去最大です。

 異例の規模となった主因は、政府の増額計画の初年度として、前年度比1兆4214億円増の6兆8219億円を計上した防衛費の急伸です。防衛財源は、一部に従来の政府方針を翻して建設国債(借金)を充てるなど歴史的な転換点になりました。

 詳しくは、下記HPをご覧ください。
 令和5年度予算政府案
 https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/seifuan2023/index.html

 令和5年度予算のポイント
 https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/seifuan2023/01.pdf

 上記を受けて、1月23より通常国会が始まり、同30日から、衆議院予算委員会で新年度予算案の実質的な審議が始まりました。
 3日間の日程で、基本的質疑が行われています。
 最初は、自民党の萩生田政務調査会長の質問です。
 防衛費の増額に伴う増税について、「5年で43兆円という防衛予算をどこまで税外でしっかり積み上げられるのか、党の特命委員会で聖域なく徹底的に議論する。税制措置の4分の1という数字はあくまでも目安だ。将来的な増税は否定しないが、努力なしに国民の理解をいただくことは難しい」と指摘しました。

 岸田総理大臣は「国民の負担をできるだけ抑えるべく、行財政改革の努力を最大限行ったうえで、それでも足りないおよそ4分の1について税制措置をお願いする。財源調達の見通しや景気の動向などを踏まえ、税制措置の実施時期などを柔軟に判断するのが政府・与党の方針だ」と述べ、重ねて理解を求めました。
(以上、2022.1.23~31日、日経、毎日、読売・産経新聞など参照)

 令和5年度の「防衛費」の予算案の裏付けとなる財源について、「税制改正大綱」では、5年後の2027年度に1兆円余りを確保するとして、法人税、所得税、たばこ税の3つの税目で増税などの措置を複数年かけて実施するとしています。
具体的には、
①法人税は、中小企業などに配慮する措置をとったうえで、納税額に4%から4.5%の付加税を課す。
②所得税は、納税額に1%の新たな付加税を課す。
東日本大震災からの復興予算に充てる「復興特別所得税」は、税率を1%引き下げたうえで、復興財源の総額を確保するのに必要な期間、課税期間を延長するとしています。
③たばこ税は、1本当たり3円相当の引き上げを段階的に行う。
として、それぞれの措置を始める時期は「2024年以降の適切な時期」とするにとどめています。

 令和5年度税制改正の大綱のうち、概要の防衛力強化に係る財源確保のための税制措置より
 https://www.soumu.go.jp/main_content/000853545.pdf

岸田首相は、所得税については増税はしないと言っていましたので、厳しい国会論戦になるのは避けられません。

4.基礎的財政収支、本気度疑われる!

 財政健全化の指標となる国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)について、内閣府は1月24日、最新の試算を公表した。
 今回の試算では、国内総生産(GDP)の成長率が実質で2%程度、名目で3%程度で推移することを前提とした「成長実現ケース」の場合、所得の増加が消費に結びついて税収も増えるシナリオです。新たな経済対策などの支出を想定せず、歳出改革に取り組むことで22年度に49・3兆円程度の赤字だったものが、25年度は1・5兆円程度の赤字に改善するとし、26年度には2・5兆円程度の黒字で、前回試算(1・8兆円程度の黒字)より、黒字幅が拡大すると見込んでいます。
 一方、成長率が現状と同水準で推移する「ベースラインケース」ではGDPの実質成長率を0%台半ばから1%台前半とし、25年度時点で5・1兆円程度の赤字です。その後、黒字に転じることなく32年度時点でも4・5兆円程度の赤字が残る予測となっています。
(以上、2022.1.24~30日、日経、毎日、読売・産経新聞など参照)

詳しくは、下記HPをご覧ください。
基礎的財政収支とは何ですか。何が分かりますか
https://www.mof.go.jp/faq/budget/01ad.htm
中長期の経済財政に関する試算
https://www5.cao.go.jp/keizai3/econome/r5chuuchouki1.pdf

 PBは新たな借金に頼らずに政策経費を賄えるかを示し、内閣府が年2回見直しています。
 最新の試算では、25年度は防衛力増強や国土強靱化による歳出の伸びが税収増効果を上回り、赤字で、黒字化するのは前回試算と同様、26年度とみています。

 数多くの前提条件を置いた試算でとても額面通りには受け取れません。
 政府の見通しは楽観的すぎるようです。
 名目で3%を超えたのはこの20年で一度しかありません。
 世界では、米欧の利上げなどで景気後退の懸念も高まっており、今後安定的に成長する保証はないです。
 歳出面でも、防衛費の増額は試算に加味されていますが、補正予算は全く入っていません。
 「異次元の少子化対策」に伴う支出も含んでいません。
 今後10年間で150兆円超の投資を要するという脱炭素対策も同様です。

 政府はこれまで、PB黒字化の目標先送りを繰り返してきました。国債に頼り、負担を将来世代に回し続けているのが実態です。
 首相は「財政の持続可能性への信認が失われることがないよう努力する」と強調していますが、発言に見合う対応をヨロシクです。

5.「令和4年分確定申告特集(準備編)」を開設しました!

 確定申告に役立つ各種情報を分かりやすくまとめた「令和4年分確定申告特集ページ」が国税庁ホームページに開設されました。
 特集ページでは、確定申告に役立つ各種情報や動画が掲載されています。

 詳細は、下記HPをご覧ください

「令和4年分確定申告特集」を開設しました
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/index.htm
「令和4年分確定申告特集(準備編)」を開設しました
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/r04junbi/info-kakushin.htm

2023年 2月号

今月のことば

道は無限にひらかれている

松下幸之助(パナソニック創業者)

「事務所通信2月号」

経営主力製品は本当に儲かっているのか?
~商品ごとに限界利益率を見る~
消費税ここが知りたいインボイス③仕入税額控除にはインボイスが必要!
税務こんな収入や支出は確定申告が必要です!
コラム旅行も食事も運しだい!”ガチャ”に願いを

2月の税務カレンダー

<納付期限>
2月10日(金)
2月28日(火)


  • 1月徴収分源泉所得税・特別徴収住民税の納付期限
  • 固定資産税(都市計画税)の第4 期分の納付
    (納期限・・・2月中において市町村の条例で定める日、通常は2月末)
<申告期限など>
2月28日(火)


  • 令和4年12月決算法人の法人税等確定申告
  • 令和4年12月決算法人の消費税等確定申告
  • 令和5年6月決算法人の法人税等予定申告
  • 消費税・地方消費税の中間申告

事務所通信 1月号

事務所通信 1月号

明けましておめでとうございます

今年は十干と十二支を組み合わせた干支で、癸卯(みずのとう)に当たります。
そして、癸卯は「これまでの努力が花開き、実り始めること」といった縁起のよい年といわれています。

令和5年が、皆様方にとりまして、健康で素晴らしい一年となることをお祈りいたします。

今年も、企業経営のサポート役として、全員で精一杯のお手伝いをさせて頂きます

どうぞよろしくお願い申し上げます

令和5年元旦

おおの会計事務所
代表・税理士大野雅行/職員一同

お知らせです!

『電子取引・インボイス制度対応勉強会』のお知らせ!

令和5年1月18日(水)午後2時から4時まで、港区民センターにて行います。

電子取引・インボイス対応スケジュールの確認表の進捗状況はいかがですか?
当日は、「電子取引・インボイス対応ワークブックVOL3.0」を配布し、最初からの復習と取引先からの請求書等への対応をお話しいたします。残りの9か月でのやるべき事を確認しましょう

又、電子インボイス、改正電子帳簿保存法への対応もお話し致します。
ご参加お待ち致しております。
会計で会社を強くするTKC会計人の視点から、「会計で会社を強くする-簿記・会計先覚者の金言集の第2回目ををお届けします。
第1回は、20世紀を代表する経営学者ドラッカーの言葉でした。
第2回目は、日本を代表する幕末明治の啓蒙思想家の「福澤諭吉」です。

「商売に一大緊要なるは、平日の帳合を精密にして、棚卸の期を誤らざるの一事なり。」
現代語で紹介すれば、
「日々の記帳」と「経営状況の適時の把握」……でしょうか。
(福澤論吉『学問のすすめ』「第14編」より)

帳合之法』は名実ともに日本で最初に出版された西洋式簿記書で、「帳合」とは「複式簿記」を意味します。また、「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」(初編)、「一身独立して一国独立す」(第3編)など、現在でも通じる普遍の原理原則を説いた『学問のすすめ』が学問一般を対象としたのに対して、『帳合之法』では「帳合学」(現在の簿記学・会計学)の見地から「実学たる帳合学」の必要性を説いています。すなわち『帳合之法』は『学問のすすめ』と対の関係にあります。
(金言集は、TKC出版「会計で会社を強くする一簿記・会計先覚者の金言集・解説」坂本孝司著より引用)

次回は、世界最初に出版された複式簿記解説書の著者「ルカ・パチヨーリ」です。ご期待ください。

1.「租税教室」に行ってきました!

 昨年、12月8日、事務所近くの「港南中学校」3年生の4クラスで、「租税教室」をしました。

 租税教室の内容は、3年生が使う「公民」の教科書の授業で「財政と租税」についての勉強です。
 「財政」の役割や仕組み、「租税」についての意義や必要な理由などを学び、租税の必要性についてはグループに分けて話し合い、そして発表です。
 中学生が学ぶレベルとしては、中身の濃い内容だと感じました。

 私の役割は、上記の内容の疑問点や質問などへの回答で、50分間のうち20分程度が質疑応答の時間です。
 生徒さん達も初めての「租税教室」なので興味を持ってくれていました。

 7月には、事務所近くの市岡中学校でも「租税教室」を3年生3クラスで行ないました。
 将来世代を担う彼らに、正しい知識を身につけてほしいと願い、「租税教室」を引き受ています。

 租税教室とは、小学生、中学生、高校生向けに租税の仕組みや重要性を税の専門家である税理士がわかりやすく解説する制度です。

 詳しくは、下記HPをご覧ください

 租税教室のご案内
 https://www.nta.go.jp/about/organization/kantoshinetsu/education/kyoshitsu/index.htm

2.令和5年度与党税制改正大綱が閣議決定されました!

 財務省は、令和5年度税制改正大綱が12月23日に閣議決定されたことを次のとおり公表しました。
(令和5年度税制改正大綱:前文)

 家計の資産を貯蓄から投資へと積極的に振り向け、資産所得倍増につなげるため、NISAの抜本的拡充・恒久化を行うとともに、スタートアップ・エコシステムを抜本的に強化するための税制上の措置を講ずる。また、より公平で中立的な税制の実現に向け、極めて高い水準の所得について最低限の負担を求める措置の導入、グローバル・ミニマム課税の導入及び資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築を行う。加えて、自動車重量税のエコカー減税や自動車税等の環境性能割等を見直す。租税特別措置については、それぞれの性質等に応じ適切な適用期限を設定する。具体的には、Ⅰのとおり税制改正を行うものとする。
また、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置について、Ⅱのとおり決定する。

 なお、閣議決定された「令和5年度税制改正大綱」の主なポイントは下記のとおりです。

【所得課税関係】
 ・金融・証券税制
 ・非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)の見直し
【資産課税】
 ・資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築
【法人課税関係】
 ・試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)の見直し
 ・その他の主な租税特別措置の改正
  (1)中小企業者等の法人税の軽減税率の特例の適用期限を2年延長する。
  (2)中小企業投資促進税制について、対象資産から、一定のものを除外、限定する。
  (3)特定の資産の買換えの場合等の課税の特例について、一定のものを除外する等の見直しを行う。
【消費税関係】
 ・適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る納税額の負担軽減等(2割特例)
 ・適格返還請求書の交付義務の緩和
 ・適格請求書発行事業者登録制度の見直し
 ・外国人旅行者向け消費税免税制度における即時徴収対象者の見直し
【納税環境の整備】
 ・電子帳簿等保存制度の見直し
 ・固定資産税及び不動産取得税に係る質問検査権の対象の明確化など

 2023年1月開催の通常国会に税制改正の関連法案を提出します。
 通常どおりに行けば、3月に法案が成立し、4月1日施行です。

 令和5年1月18日(水)の勉強会でもお話します。

 詳細については、「財務省ホームページ(税制)」をご参照ください。
 https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2023/05taikou_gaiyou.pdf

3.来年度予算案、最大の114兆円決定国債依存なお3割超コロナ有事、脱却できず!

 政府は23日、一般会計の総額が114兆3812億円となる2023年度当初予算案を閣議決定しました。
 前年度から6兆7848億円(6.3%)増え、増加額は過去最大です。

 異例の規模となった主因は、政府の増額計画の初年度として、前年度比1兆4214億円増の6兆8219億円を計上した防衛費の急伸です。防衛財源は、一部に従来の政府方針を翻して建設国債(借金)を充てるなど歴史的な転換点になりました。

 2023年度当初予算案は、11年連続で過去最大を更新し、総額は、各省庁が予算編成前の8月に実施した概算要求額約110兆円を上回る異例の規模になりました。

 高齢化で伸び続ける社会保障関係費は、薬価改定などで6154億円(1.7%)増にとどめたが、36兆8889億円で過去最大となりました。
 国会議決を経ずに政府の裁量で使える予備費は、批判も強いが、新型コロナや物価高、ウクライナ有事に対応するため、当初予算として3年連続で5兆円を確保です。

 過去に発行した国債の返済や利子の支払いに充てる国債費は、残高が増えたため3.7%増の25兆2503億円となりました。利払いの想定金利は1.1 %で前年度から据え置きです。
 歳入では、コロナ禍からの景気回復で税収を過去最高の69兆4400億円と見通しました。新規国債の発行額は、35兆6230億円で3.5%減少ですが、歳入の3割を占め借金頼みは変わっていません。国債の発行残高は23年度末には1068兆円に達します。
(以上、財務省HP、2022.12.22~12.24日、日経、毎日、読売・産経新聞など参照)

 今回は、一言で言えば「非常に苦しい」予算案になりました。
 防衛費の急伸による、歳入の捻出に苦心しました。
 それでなくても、政策経費の半分を超す社会保障関係費は少子高齢化で増加が続き、義務的経費の地方財政交付金や国債の利払費も増えています。
 将来世代の安心を確保するためにも、抜本的な社会保障改革やメリハリを利かせた歳出構造の刷新も遅れ、未来の成長のための投資余力が圧迫されています。

 さらに、新型コロナウイルス禍で拡張した補正予算による追加が常態化し、今年度は巨額の経済対策による補正予算で62兆円まで膨れています。
 また、日銀の金融緩和策の修正による金利上昇の可能性があり、住宅ローンの負担感の増加による個人消費の落ち込み、財政運営では国債の利払費の上昇といった影響も気になります。

 岸田首相には、厳しいですがリーダーシップを発揮し、将来の消費税率引き上げも含め、痛みを伴う負担の問題から逃げないでほしいですネ。それが現世代の責務ではないでしょうか・・・・。

 詳しくは、下記HPをご覧ください。
 令和5年度予算政府案
 https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/seifuan2023/index.html
 令和5年度予算のポイント
 https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2023/seifuan2023/01.pdf

4.金融庁、「経営者保証に関するガイドライン」!

 経済産業省と金融庁、財務省は23日、経営者個人が会社の連帯保証人になる「経営者保証」の改革プログラムを正式に発表しました。
 2023年から、創業5年以内を対象に経営者保証を不要にする信用保証制度など3つの制度を順次始めます。年間約300万件の融資が対象ですが、創業や事業承継、事業展開の加速につながるか、金融機関の意識改革が迫られています。

 2023年3月に開始する新しい信用保証制度では、創業5年以内の事業者の経営者保証を不要にします。事業者が0.2%の上乗せ保証料を負担すれば、3500万円まで全額保証、無担保で借りられる制度で、創業期の財務基盤の弱点を補強します。
 4月からは民間金融機関に、創業5年以内に限らずすべての経営者保証の契約を結ぶ場合に必要性などについて説明を義務付ける。説明内容を記録し件数を金融庁に報告する必要があり、手続きが煩雑になる。安易な経営者保証付き融資を抑制する狙いがあります。

 2024年4月からは、創業5年を超えた事業者も経営者保証の解除を選択できる信用保証制度も始めます。
 法人から代表者への貸し付けがないことや決算書類を金融機関に定期的に提出しているなどの条件を満たし、経営状態に応じた上乗せ保証料を負担すれば解除できます。
 中小企業信用保険法の改正案を2023年1月の通常国会に提出する見通しです。

 高度経済成長期に確立された経営者保証をつける融資慣行が約50年ぶりに見直されます。起業をためらったり、事業に失敗した後の再チャレンジを阻害したりする要因となっていました。
 次の課題は運用面を握る金融機関の意識改革です。鈴木俊一金融相は民間金融機関を対象に、取り組み方針を「経営陣を交えて議論し、対外公表すること」と要請しました。
(以上、金融庁、銀行協会など。2022.1129~11.24日、日経、毎日、読売・産経新聞など参照)

 改正は、「個人保証を求める場合には、理由を説明しなさい」ということで、経営者保証の仕組みが禁止されるのではありません。誤解のないようにしましょう。
 「経営者の個人保証」問題は、新規事業への再チャレンジの阻害要因の1ツでした。
 これを機に、起業家が増えること、また、金融機関の皆さんの意識改革も期待しています。
 いずれにしても、両者が密にコミュニケーションを取り、話し合うことが求められます。

 詳しくは下記HPをご覧ください。
 経営者保証
 https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/keieihosyou/#guideline
 「経営者保証改革プログラム」の策定について(令和4年12月23日公表)
 https://www.fsa.go.jp/news/r4/ginkou/20221223-3/20221223-3.html
 経営者保証改革プログラム
 https://www.fsa.go.jp/news/r4/ginkou/20221223-3/01.pdf
 https://www.fsa.go.jp/policy/hoshou_jirei/index.html
 経営者保証ガイドライン
 https://www.zenginkyo.or.jp/adr/sme/guideline/

5.令和3年分相続税の調査等の状況について!

 国税庁は、令和3年分における相続税の調査等の状況を公表しました。
 なお、相続税の申告事績や相続税の調査等の具体的内容は、次のとおりです。

 1.死亡者数・課税対象となった被相続人数
 令和3年中(令和3年1月1日~令和3年12月31日)の死亡者数(被相続人数)は、約144万人(前年137万人)で、前年に比べて約6.7万人の増加(対前年比約105%)となっています。
 また、相続税の申告書の提出があった被相続人数は、約13.4万人(前年約12万人)で、前年に比べて約1.4万人の増加(対前年比約112%)となり、死亡者数に対する割合は相続税の基礎控除額が引き下げられた平成27年分以降で最も高い9.3%(前年8.8%)となっています。

 2.課税価格・税額の推移
 課税価格は、約18.6兆円(前年約16.4兆円)で、約2.2兆円の増加(対前年比約113%)となり、相続税額は約2.4兆円(前年約2.1兆円)で約3,500億円の増加(対前年比約117%)です。
 また、これを被相続人1人当たりでみると、課税価格は約1.4億円で、前年に比べて約220万円の増加、相続税額は約1,820万円(前年1,740万円)で前年に比べて約80万円の増加となっています。

 3.相続財産の種類別構成比
 相続財産の金額の構成比は、土地33.2%(前年34.7%)、現金・預貯金等34.0%(前年33.9%)、有価証券16.4%(前年14.8%)であり、現金・預貯金等の構成比が平成以降の最高の割合となるとともに、前年までトップだった土地の構成比割合を上回り、財産の種類別の構成比でトップになっています。また、有価証券も1.6ポイント増加し、金融資産の割合が増加しています。

 詳しくは、下記HPをご覧ください。
 令和3年分相続税の申告事績の概要
 https://www.nta.go.jp/about/organization/fukuoka/release/r04/sozoku_chosa/sozoku_chosa.pdf

2023年 1月号

今月のことば

経営者は、ビジョン、目標を高く掲げ、集団に指し示さなければならない

稲森和夫(京セラ創業者)

「事務所通信1月号」

経営経営理念は「見えない資源」
~稲森和夫に学ぶ
税務今年はこれだ!インボイスと電子取引への対応を進めよう!
経営まだ間に合う!補助金等の最新情報
コラムますます身近に!?最新ロボットの世界

1月の税務カレンダー

<納付期限>
1月10日(火)


  • 12月徴収分源泉所得税・特別徴収住民税の納付期限
    (注)納期限の特例届出書提出者は、1月20日(金)
  • 個人住民税(普通徴収分)第4期分の納付納期限・・・・1月中において市町村の条例で定める日
    ※個人住民税の徴収(納付)方法には、
    ①給与から天引きの特別徴収
    ②自分で納める普通徴収
     の2つの方法があります。
<申告期限など>
1月31日(火)


  • 法定資料(給与支払報告書、源泉徴収票、支払調書)の提出期限
  • 令和4年11月決算法人の法人税等確定申告
  • 令和4年11月決算法人の消費税等確定申告
  • 令和5年5月決算法人の法人税等予定申告
  • 消費税・地方消費税の中間申告
  • 給与所得者の扶養控除等申告書の提出は今年最初の給与の支払いを受ける日の前日まで
  • 固定資産税の償却資産に関する申告
会計ソフト(FX2)の導入
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